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小選挙区制とは?当選までの流れ・死票問題・メリットを簡単解説

投稿日2023.1.5
最終更新日2024.06.17

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「小選挙区制」とは、1つの選挙区から1名の議員を選出する選挙区制度です。小選挙区制には4つの種類があり、それぞれメリットとデメリットがあります。

また、有権者の持つ一票の価値がバラバラになってしまう「一票の格差」という課題も存在します。

本記事では、以下について紹介します。

  • 小選挙区制とは
  • 小選挙区制の種類
  • 小選挙区制のメリット・デメリット
  • 日本の小選挙区制
  • 選挙実施~当選までの流れ
  • 問題点|一票の格差や死票

本記事がお役に立てば幸いです。

比例代表制について詳しく知りたい方は以下の記事もご覧ください。

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1、小選挙区制とは

小選挙区制

そもそも小選挙区制とはどのような制度なのでしょうか。
小選挙区制とは、1つの選挙区から1名の議員を選出する選挙区制度です。
2名以上を選出する選挙制度を「大選挙区制」と呼びます。

(1)小選挙区制の概要

小選挙区制では、全国を議員定数と同じ数の選挙区に分割し、1選挙区から1人の議員を選出します。

1選挙区で最も得票数の多い1人を選ぶ形式のため、小政党よりも、支持者の多い大政党の候補者として出馬する方が勝ちやすい傾向にあるのが特徴です。

そのため、一般的には小選挙区制下では政局が安定すると言われています。

多数派にアピールできる中道的な政党が有利になるとされ、穏健で安定的な大政党が出現しやすくなる傾向があるようです。

2、小選挙区制の種類

小選挙区制は細かく分けると以下の4つに分類することができます。

  • 単純小選挙区制
  • 小選挙区比例代表並立制
  • 二回投票制
  • 優先順位付(き)投票制

制度ごとに細かなルールが異なっています。

くわしく見ていきましょう。

(1)単純小選挙区制

一般的に言われる小選挙区制のことを指します。

有権者は1人の候補者を選んで投票し、その中から一番得票の多い候補者が当選する仕組みです。

かつてのヨーロッパで多く採用され、現在でもイギリスの議員選挙で用いられています。

(2)小選挙区比例代表並立制

小選挙区制と比例代表制の利点を合わせた制度で、現在の日本で採用されている方式です。

有権者は、小選挙区と比例代表それぞれに投票します。

候補者は小選挙区と比例代表どちらにも立候補することができ、仮に小選挙区で落選しても、比例代表で復活当選する可能性があるのが特徴です。

日本のほか、韓国の国会でも採用されています。

(3)二回投票制

一度目の投票で候補者の数を絞り、二度目の投票で最終決定する方式です。

フランスの大統領選挙が有名で、アルゼンチンやブラジルなど多くの国の大統領選挙で採用されています。

近年、フランス以外の国ではほとんど実施例はありません。一応、アメリカ大統領選挙も、一度目の選挙人団の投票で過半数が出なかった場合は、下院での決選投票で決まる二回投票制です。

(4)優先順位付(き)投票制

有権者が、候補者を順位付けして投票する方式です。

たとえば4人の候補者がいた場合、有権者は1~4位の順にランク付けします。

トップが過半数に満たない場合は下から順に絞っていって、最終的に過半数を超える候補者に決定するのが一般的です。

オーストラリアの代議員やアイルランドの大統領選挙などで採用されています。

3、小選挙区制のメリット・デメリット

多くの国が採用している小選挙区制ですが、メリットがある一方デメリットも存在します。

(1)小選挙区制のメリット

小選挙区制のメリットとして挙げられるのが

「有権者が候補者の顔を知ることができる」という点です。

選挙区が細かく分かれている分、有権者と候補者の距離が近くなり、より身近に感じることができます。

特に地元にゆかりのある候補者が多いので、各地の課題を詳細に把握できるという面でもメリットがある制度です。

また、基本的には1つの政党から1人の候補者しか出ないため、党内での争いも起きにくく、有権者にとって争点が分かりやすいのも小選挙区の大きなメリットです。

さらに、狭い選挙区内での選挙活動になるため、選挙にかかる費用が抑えられるという特徴もあります。

(2)小選挙区制のデメリット

一方、デメリットとして挙げられるのが、「死票」の多さです。

死票とはすなわち、落選者に投じた票のことです。

つまり当選した1人以外に投じた票は全て死票となります。

そのため、死票の割合があまりにも多すぎると、必ずしも民意を反映した結果であるとは言いにくいかもしれません。

また、小さな政党では勝ち目が薄く、少数派の意見を吸い上げるのが難しいという側面も否定できません。

加えて、候補者と有権者との距離が近い分、買収が起こりやすいと指摘されることもあります。

平等性の確保が難しい選挙区の区割りについても、「多数政党に有利なように割り振られる可能性がある」との声が出ているのも事実です。

4、日本の小選挙区制

Member of the Diet
現在の日本は小選挙区比例代表制を採用していますが、歴史を遡ると紆余曲折を経て現在の形に落ち着いています。

小選挙区制は、元々アメリカやイギリス、ヨーロッパで広く採用されていました。

日本では1890年に衆議院で採用されたのが最初です。
その後は大選挙区制や中選挙区制が採用される時期もあり、1996年の衆院選から現行の小選挙区比例代表制が実施されるようになりました。

ちなみに、参院選における定数2、改選数1のいわゆる「1人区」も、改選議席が1人となるため、実質的には小選挙区制だと言われています。

なお衆議院議員の定数は465名です。
そのうち、比例代表選出議員が176名、小選挙区選出議員が289名です。

参議院議員の定数は248人で、比例代表から選出される議員が100名、選挙区から選出される議員が148名です。

5、選挙実施~当選までの流れ

小選挙区制下で実際に選挙が実施された場合、投票から当選までどのような流れなのか説明します。

(1)立候補表明

各小選挙区内に立候補者が出揃い、定数以上の立候補者が出た場合、選挙戦となります。

(2)投票

有権者は、選挙区内の候補者の中から1人を選んで記名投票します。
「小選挙区比例代表制」を採用している現行の日本では同時に、比例代表の投票も行います。

衆議院議員選挙においては政党名のみ記入し、参議院議員選挙では政党名か候補者名のどちらか1つを記入することになります。

(3)開票・当選

得票数の最も多い候補者が、「選挙区選挙」で当選します。

ただし、小選挙区比例代表制の場合、これで終わりではありません。
小選挙区で落選した候補者は、「比例代表選挙」に回ります。

ここで政党内順位や得票比率、惜敗率に応じて比例代表の議席を争うことになり、上位に食い込めば晴れて当選です。

6、問題点|一票の格差や死票

「デメリット」の項目でも触れましたが、現代の小選挙区制や小選挙区比例代表制にも問題点が指摘されることがあります。

(1)一票の格差

ニュースでも度々「一票の格差」が取り上げられます。

同じ選挙であるのに、選挙区内の有権者数に大きな差があるため、有権者の持つ「一票」の価値がバラバラになってしまうという問題です。

過去には、最高裁判所で法の下での平等に反するとして、「違憲」、または「違憲状態」とする判決が出たこともあります。

違憲状態を解消するため、2022年には公職選挙法が改正されました。衆議院の小選挙区について、東京や神奈川など5つの都と県であわせて10増やす一方、宮城や新潟、広島など10の県で1つずつ減らす、いわゆる「10増10減」を行いました。2023年以降の衆議院選挙では、新しい区割りで選挙を行うこととなっています。

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(2)死票の増加

小選挙区制においては、落選者に投じた「死票」が増えてしまうことはやむを得ません。

特に有力な候補が2人いて接戦となった場合、落選した候補者に投票した有権者の民意が無駄になってしまう点は大きく懸念されています。

(3)少数党に不利

1人の候補者を決める小選挙区制では、小さな政党よりも、支持者の数が多い大政党の方が、過半数を獲得しやすい傾向にあります。

そのため、支持者数があまり多くない小さな政党には不利な選挙となり、存立すら危うくなる可能性があるという指摘もあります。

小選挙区制に関するQ&A

Q1.小選挙区制とは?

小選挙区制とは、1つの選挙区から1名の議員を選出する選挙区制度です。
2名以上を選出する選挙制度を「大選挙区制」と呼びます。

Q2.小選挙区制の種類は?

小選挙区制は細かく分けると以下の4つに分類することができます。

  • 単純小選挙区制
  • 小選挙区比例代表並立制
  • 二回投票制
  • 優先順位付(き)投票制

Q3.小選挙区制の問題点は?

以下のような問題点があります。

  • 一票の格差
  • 死票の増加
  • 少数党に不利

まとめ

近年は小選挙区比例代表制が続く日本ですが、今後も同じ方式で続いていくかどうかは分かりません。

「一票の格差」をめぐる訴訟で違憲判決が出ていることや、少数党に不利な点などの課題も多く、廃止される可能性もあります。

人口減少に歯止めがかからない現状では、先行きが不透明だと言わざるを得ません。

しかし、仮に選挙制度が変わったとしても、私たち有権者に求められることは変わりません。

制度に惑わされず、自身の判断基準をしっかりと持って、選挙に臨みましょう。

この記事の監修者
政治ドットコム 編集部
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