NTT法とは「日本電信電話株式会社等に関する法律」の略で、通信サービスを提供する会社が必ず守らなければならないルールを定めています。
1985年に制定され、時代とともに改正されていますが、2024年現在、廃止または改正が求められています。
今回は以下についてわかりやすく解説します。
- NTT法とは?目的と概要
- NTT法の特徴
- NTT法の歴史
- NTT法の問題点
- NTT法の改正・廃止に関する最新動向
1. NTT法とは?目的と概要
NTT法とは「日本電信電話株式会社等に関する法律」の略で、日本の通信制度において中心的な役割を果たす法律です。
通信産業の発展や通信インフラの整備、利用者のプライバシーの保護などを目的としており、通信サービスを提供する会社が必ず守らなければならないルールを定めています。
2. NTT法の特徴
ここでは、NTT法の特徴について解説します。
(1)政府が3分の1以上の株を保有
NTT法では、NTTの株式の3分の1以上を政府(財務大臣)が保有することを定めています。法律の対象は、NTTグループを統括するNTT(持株会社)、NTT東日本、NTT西日本の3社です。
政府が株を保有するのは税金で構築した通信インフラを、NTTが政府の許可なく使い、利益だけを追求することを防止するためです。
(2)通信事業者の競争促進
NTT法では、通信会社同士の競争を保証しています。各会社の競争によりサービスの質が上がり、料金が安くなることが期待できます。
(3)品質・安全性・安定性の確保
NTT法では、通信サービスの品質や安全性、安定性の確保について定めています。個人情報の保護や、契約条件の明確化など、品質・安全性・安定性に関するルールが決められているため、利用者は安心して通信技術を利用できます。
(4)通信サービスの普及と地域間の格差解消
NTT法は、通信サービスの普及と地域間の格差の解消を目指しています。地方地域や離島などの地域においても、高品質かつ手頃な価格で通信サービスが提供されるよう、適切な政策や支援措置が実施されています。
(5)国際規制との調和
NTT法は、国際的な通信規制の整備を保証すると定めています。各国で利用されている通信技術の導入により、国際間の通信環境の整備を円滑にしています。
(6)研究成果開示の義務
NTT法では、NTTが研究成果を開示する義務があります。1985年に制定された当時、電気通信技術の普及を目的に公開することが定められました。
しかし、現在は研究データの開示義務があることから、NTTは共同研究を断られるケースも起きています。
3. NTT法の歴史
ここでは、NTT法の歴史について解説します。
(1)1984〜1985年:NTT法の制定
電話やインターネットなどの通信を扱う「日本電信電話公社」が民営化され、「日本電信電話株式会社」になりました。そしてNTT法(日本電信電話株式会社法)が制定されました。NTT法では、日本の通信技術がよりよいものになるよう、通信インフラの整備や公共性の保護など、様々なルールを定めました。
(2)1990年代:NTT法の改正
1990年代は簡易型携帯電話のPHS(Personal Handy phone System)の普及や、携帯電話のインターネット接続サービス「iモード」の登場など、人々の生活に大きな変化がおきました。
この時代背景にあわせてNTT法も改正され、名称も「日本電信電話株式会社等に関する法律」となりました。そして、以下のようにNTTの組織再編が行われました。
- NTT(NTT法対象)
- NTT東日本(NTT法対象)
- NTT西日本(NTT法対象)
- NTTコミュニケーションズ
- NTTドコモ
- NTTデータ
(3)2000年代:通信サービスの進化
2000年代に入ると、一般家庭への光ファイバーが提供開始となりインターネットが大幅に普及します。携帯電話を使う人口も増え、通信サービスは急速に進化しました。この時代にあわせてNTT法も改正され、新しい技術に合わせてルールが整備されました。
(4)2010年代〜:IoTや5G時代の到来
2010年以降になると、IoT(モノのインターネット)や5G通信などの新しい技術が台頭しました。NTT法もこの新しい時代に合わせて改正が進められ、新しい通信サービスの提供や技術の導入が推進されました。
引用:
NTT「NTTグループの歩み」
NHK「NTT見直し議論 どうなる巨大通信会社の行方」
4. NTT法の問題点
ここでは、NTT法の問題点について解説します。
(1)NTTに対する研究成果の公開義務
NTT法で定められている「NTTの研究結果を公開する義務」が問題点として上がっています。
2024年現在、NTTでは次世代の通信ネットワーク技術であるIOWN(アイオン)の研究を推進していますが、成果を公開する義務があることで、海外のライバル企業に最新技術を奪われてしまう可能性があります。
(2)固定電話サービスの継続
NTT法で定められている「固定電話の全国一律のサービスの継続」も課題となっています。
NTT法では、山間部や離島など、人口が少ない地域でも一定の通信サービスを受けられるよう定められています。そしてその法律に沿って、NTT東日本とNTT西日本が固定電話の有線回線(銅線で作られた旧来型の回線)の提供を担っています。
しかし、固定電話の利用者は年々減少し、2021年度にはNTT東日本とNTT西日本あわせて年間で500億円あまりの赤字をだしています。
そのため固定電話のサービス継続が課題の1つとして上がっています。
引用:NHK「NTT見直し議論 どうなる巨大通信会社の行方」
5. NTT法の改正・廃止に関する最新動向
2023年12月、NTT法の法改正・廃止に向けた提言を自民党のプロジェクトチームが公表しました。NTT法の内容を時代の変化を踏まえた上で改めるべきと検討を進めてきました。
そして2024年3月時点で「NTT法は廃止を含め検討する」としています。
引用:NHK「NTT法改正案を閣議決定「廃止を含め検討」議論の余地残す形に」
PoliPoliで公開されているIT関連の取り組み
誰でも政策に意見を届けることができる、政治プラットフォームサービス「PoliPoli」では、「Web3.0」を日本の成長戦略の柱にする政策について、以下のように公開されています。
あなたの願いや意見が政策に反映されるかもしれないので、是非下記のリンクからコメントしてみてください。
(1)「Web3.0」を日本の成長戦略の柱に!政策の政策提案者
議員名 | 平 将明 |
政党 | 衆議院議員・自由民主党 |
プロフィール | https://polipoli-web.com/politicians/CU6xgdz9r8x0M4IpSq2y/policies |
(2)「Web3.0」を日本の成長戦略の柱に!政策の政策目標
政策目標は主に以下の通りです。
- Web3.0時代を見据えた国家戦略の策定・推進体制の構築
- ブロックチェーンエコシステムの健全な育成
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(3)実現への取り組み
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- 担当大臣の設置
- ブロックチェーンエコノミーに適した税制改正
- NFTビジネスをめぐる法令や指針の整備
この政策の詳細をより知りたい方や、政策の進捗を確認したい方は下記リンクからご確認ください。
まとめ
NTT法は通信サービスの発展や利用者の利益保護のための大切な法律として存在しています。
デジタル社会の発展や新たな技術の普及に合わせて、法律が柔軟に対応していくことが期待されるでしょう。