1. 概要
3月28日、衆議院内閣委員会において、「重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律案」と「経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律の一部を改正する法律案」、いわゆるセキュリティ・クリアランス制度に関する案件が取り上げられました。会議には5人の参考人からの意見陳述があり、はじめに自由民主党・中山展宏衆議院議員が質疑を行いました。
衆議院 内閣委員会
3月28日
自由民主党・中山展宏衆議院議員衆議院インターネット審議中継 ビデオライブラリ
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2. 質疑のポイント
- 研究インテグリティとセキュリティの両立:
- 研究の構成やセキュリティについての整合性に関する質問。
- 情報管理における官民協力の重要性と、民間の貢献についての期待。
- セキュリティクリアランス制度と同盟国との適合性:
- 同盟国との情報共有におけるセキュリティクリアランス制度の機能的適合性やクラシフィケーションの同等性に関する質問。
- 知財や技術情報におけるサプライチェーンの制御に関する議論。
- 重要インフラの拡大と必要性の検討:
- 重要インフラの分野を拡大する必要性に関する議論。
- 港湾から他の分野への議論やプラットフォーマー、医療分野などの重要性についての質問。
- サイバーセキュリティと情報活動の必要性:
- サイバーセキュリティや情報セキュリティにおける通信の秘密に関する質問。
- 情報活動の必要性についての検討。
- 情報の共有と管理の重要性:
- 情報の民主主義への重要性や公文書管理に関する議論。
- 対外投資や情報の行き来における情報の制御と管理についての考察。
3. 関連する法律
重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律案
自由民主党HP より
経済に関する重要な情報や安全保障に関わる情報を保護し、適切に活用するための法律案です。この法律案は、国家の安全保障や経済の安定性を維持するために、情報の適切な管理、セキュリティの確保、そして必要に応じた共有や活用を規定することを目的としています。
経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律の一部を改正する法律案
経済活動を通して、国や国民の安全に危険を及ぼす行為がデジタル社会の中で多様化し、安全保障の環境が変化しています。そこで、特定の社会基盤の仕事について安定的な提供を確保するため、「一般港湾運送事業」を追加することを改正する法律案です。
・衆議院「経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律の一部を改正する法律案」
4. 書き起こし
文字起こしは生成AIを利用しています。詳細な内容については実際の動画をご覧ください。
中山展宏・衆議院議員:
自由民主党の中山展宏でございます。
今日は法案審議に当たり、貴重な視座から、ご意見を賜りましてありがとうございました。時間の関係もありましてお一人ずつ質問をさせていただきます。
まず渡部参考人からお願いをいたします。いわゆる研究インテグリティ、研究構成とその研究セキュリティ、研究安全保障についての両立、整合性に大変付与された腐心されたと思いますが、その点についてご所見をいただきたい。
また、先ほどの情報管理について、官民協力のエコシステムが育まれることが重要であるとおっしゃっていただきました民間のフォルダがですね、そのエコシステムにどのように貢献されると期待されておられるか、ご説明いただきたいと思います。
渡部俊也・参考人:
はい、ご質問ありがとうございます。
セキュリティアンドインテグリティについてはですね、今回議論しているセキュリティクリアランスの対象になるリスト、リスクアンドリサーチの外側ではありますけれども、これ実は先ほど言いましたクリアランスの内と外のエコシステムという意味でお話をいたしました。
これは日本も合意いたしましたけれども、G7で最近、このセキュリティアンドインテグリティの考え方については、統一的な考え方・プリンシパルを発表し、そのベストプラクティスを出されています。基本ですね、ここで言われてるのは何が大切かというと、学問の自由とか、そういうことは大切なんです。
その大切なところに、バットフェイスアクターがそのオープンな環境を利用して、知財の窃盗とかをやるのを防がないといけないのでセキュリティが必要だとそういう構造になっています。そのためにですね、いろんな施策の中で実行部隊としての、例えば大学研究機関がやるべきこととしては、これはデューデリジェンスを一番あの人にあげていると。
これはあのバックランドチェックとは違います。
例えばオープンソースデューデリジェンスとあなたが付き合おうとしてる人たち、あるいは、その機関はどういう人なのかあなたはわかって、それを説明できますか?ということをオープンソースの中でも説明をしてくださいというようなことであります。
これは非常に重要だと思いますし当然できる。ただし、このオープンソースであってもですねそれをやるときに、やはりバイアスのかかったような調査をしてはいけないとかそういうガイドラインをつけて、それをやるようなことをですね、政府の方でガイドライン作ってほしいというようなことを申し上げたいと思っております。
それから先ほどのエコシステムの中で今申し上げましたが、これセキュリティクリアランスでアメリカの場合、400万人もいますので、この人たちはですね、実は例えばセキュリティクリアランスホルダーの期間を経てまた、ファンダメンタルリサーチに行ったりとかですね。行き来をしています。
この人たちはここの部分はわかっているので、本当に基礎研究をやるときに、ここまでやったら機密研究になりますよ、というのはわかっていると、そういう人たちが要所要所にいることで、それで、健全なある意味ですね、公開の研究もできるし、本当にこれは秘密にしないといけないことができると、我が国の場合それがなかったのでどこまで言っていいかわかんないとかですね、 全部グレーだとか、そんな感じになってたんじゃないかというふうに感じます。アメリカで取材しますと、そういうようなことを感じました。
中山展宏・衆議院議員:
ありがとうございます。続いて、境田参考人、お願いいたします。
セキュリティクリアランス制度は、同盟国同志国とですね、機能的に適合しているかどうかいわゆる通用するかどうか、情報のクラシフィケーションがですね、同等のものになってるかどうか、そういう観点からお話をいただきたいのと、科学や研究領域における、知財機微技術情報・エマテク情報のですね、これサプライチェーンをどのように制御をしていくかという上において、セキュリティクリアランス制度以外の何か方策が、あるかどうか、アイディアがありましたら教えていただきたいと思います。
境田正樹・参考人:
まず、同盟国同志国との制度と整合させるという、これは今も特定秘密保護法におきましてもその分野においてはですね、同盟国同志国等連携しながらですね、情報の共有などができる仕組みになっていると理解しておりますが、今般のセキュリティランス制度ができた暁におきましてもですね、同様の同盟国同志国との連携ができるような、そういった、これ政府の努力が必要だと思うんですけどそれが必要だというふうに考えております。
それから、やっぱり研究に関するインテグリティというかその知財をどうやって保護するかとこれ非常に重要なところでですね。
やっぱり、去年産総研の中国人研究者の漏洩事件というのが起きましたけれども、企業とか大学とか国立研究開発法人の立場から立つとですね、
やっぱり基本的に研究ってのは自由に、グローバルにいろんな世界のトップ研究者と一緒にするというのがこれ重要なんですが、他方、そういう中に実は各国のそういう工作員だったりですね、その技術力を盗もうとしてる人が紛れ込んでいるわけで、そこのクリアランスというのはなかなか難しいという状況があります。このためには、とはいっても個人のバックグラウンドを組織としてなかなか把握することができないという課題があります。
それから、あとは、日本というのはやっぱりそのインテリジェンス情報というのはなかなかアクセスできないというのがあって、その人がこういう背景があるとわかっていてもそこがどういうリスクがあるかも実は研究機関としてわからないんですね。
なので、できればそういうインテリジェンス情報を、きちっと契約のもとに入手できるようなそういった公的なサービス。これがあればですね、より安心して研究ができるようになるんではないかというふうに考えております。
中山展宏・衆議院議員:
ありがとうございます。 先ほどSP8017の話も触れていただきまして、 今、社内デカップリングということもですね。企業において研究環境のデカップリングということも、様々なところで議論はされてると思いますが、なかなか実装に向けてはですね非常に配慮しないといけないところもあると思いますのでまたご指導いただければと存じます。
それでは齋藤参考人お願いをいたします。
このセキュリティクリアランスのホルダーになられた方のですね、人生においての影響というかですね、またその施設・民間事業者、組織の影響。これ様々あると思いますが、弊害の部分も多少なりともあるんだと思います。それを提言する方策は、ありますでしょうか?
齋藤裕・参考人:
ありがとうございます。
ホルダーになった方の人生に対する影響ということでございますけれども、まさにおっしゃられた通り先ほども申し上げましたけども、例えば、海外渡航というものが調査項目に入ってくるということになると、なかなか海外旅行も行けない。
そして例えば配偶者の国籍だけで排除はしないんだというふうには言われているけれども、やはり重要な要素であるようにも思われるので、結婚の自由も侵されるかもしれない。そして組織に関して言うと、社長さんあるいは取締役会議長が、本来であればセキュリティの対象になるとかですね、経営陣に対するセキュリティというのも、アメリカ的に言えば本当は必要なんだろうということになってくると、今のように海外の、あとは株主ですね、株主の国籍とかも調べるということになると、今のような国際的に事業をやってる会社が多いという状況のもとでは、経営的にも非常に困難だということになるんだろうと思うんです。
組織的な問題についてはあくまでそれを少なくとも今回の法案で言えば、情報を受けとりたいクリアランスの対象になるかどうか自分たちはデメリットがあっても受けたいという会社が自己判断すればいいんですけど、対象となる個人については、有識者会議の中では、例えば国が10万円、その報酬を払うとかですねそういうことも議論されていました。もう一つは例えば、そういう制度を導入する前に労使協定を必須化するとかですね、そういう方策も検討する必要があるんだろうと思っております。
ありがとうございました。
中山展宏・衆議院議員:
ありがとうございます。
ホルダーになりたくないというような動機が生まれないようにですね、これはしっかりこの委員会でもですね、その件については議論をさせていただいた上で払拭していきたいと思います。
ありがとうございます。大澤参考人お願いをいたします。
今時、重要インフラが14分野から港湾の分野も含めてですね重要インフラとして指定をさせていただくことになりますが、議論の中で、港湾からさらにですね、他の領域、他の分野、私はかねがねいわゆるプラットフォーマーであったりとか、医療分野であったりとか、そういうことが議論をされておりますけども、そういったことの必要性をどのようにお考えかをお伺いしたいと思います。
それからサイバーセキュリティ・情報・データセキュリティの上でですね、この通信の秘密に関わりますが、シギント、いわゆる通信におけるその情報を活動、情報活動というものの必要性は感じておられるかどうか、お伺いしたいと思います。
大澤淳・参考人:
中山先生ありがとうございます。
まず基幹事業者の指定の拡大についてでございますが、これ、多分ですね、その基幹事業者がですねサプライチェーンでボトルネックになるか、そして代替性があるかどうかという視点から考える必要があるかと思います。医療機関ですと、代替性が利きますので一つの医療機関がサイバー攻撃を受けても、その周辺の機関がカバーをするということが可能になりますので、仮にその地域で、もうそこしかないとそれが潰れるとですね、代替性がないということであれば、指定の拡大というものは検討していく必要があるだろうというふうに思います。
それからシギントとの必要性でございますけれども、我が国はおそらく諸外国の中で唯一、インターネットでシギントの収集ができない国だというふうに考えております。これは現在、サイバー安全保障法制を政府の方で検討されておりますけれども、このサイバー攻撃に関する情報。特にですね、攻撃者に関する情報はシギントを得ないと攻撃者の特定ができませんので、そういった点では、インターネット上のシギントというものは安全保障を守る上で必要であるというふうに考えております。
ありがとうございます。
中山展宏・衆議院議員:
ありがとうございます。
これも議論を深めないといけないところだと思っております。さらには、ダークウェブでの取引についてですね、しっかりこの関与というかですね、監視ができる環境についてもしっかり行っていかないといけないと思っております。
三宅参考人、お願いをいたします。参考人は、情報は民主主義の通貨、公文書管理民主主義の基盤とおっしゃられて、その通りだと思います。環境の変化、世界の安全保障環境の変化もあってですね、米国でのCFIUS、対米外国投資委員会CFIUSは、我が国もそうですけど、インバウンド投資、対内投資に関しては審査を行う環境になっています
他方、アウトバウンド投資もですね、対外投資も安全保障に資する、対外投資を行うということが今議論されるかと思いますが、情報においてもですね、その行き来において整備をする必要性はあると思います。その中で先ほど参考人からのご懸念も伺いましたけども、情報の制御は例外的な規定ということではなくて、能動的に私達が制御をしていく。安全保障に資する情報の共有の仕方、また保護の仕方、活用の仕方。こういった考えに基づくというところ今般の法案は議論されていると思いますが、能動的に情報を管理していくことについて、ご所見をいただければと思います。
三宅弘・参考人
私も経済安保情報についての保護がいらないという立場ではございません。
能動的に管理をするということは、それは当然ありうることだと思いますが、先ほど、申しましたように、それが国の情報法制の根本、情報公開公文書管理法との関係において、いささか整理が不十分ではないかということがありました。
もう一つ、先ほどの説明に付け加えますと、例えば特定秘密保護法の中の、テロ・スパイ等の部署のところには、サイバー攻撃に対してですね、対応するということは、運用基準の方で整理されて中に入っておりますが、そもそもそういうようなものを活用しないで、今回、そういうことの検討をこの10年のレビューもしないでですね、これがこの法案が作られているのではないかということで、いささか情報監視審査会で、この10年積み上げてきた議論がですね、軽視されているのではないかと、あの委員会は本当に重要な委員会だと思います。それで大きく育てていかなきゃいけない委員会だと思っております。
そういう意味でこれは適正評価についてもですね、不利益を受けないというようなことを情報監視審査会でチェックをするということが当然できることになってますが、今回、能動的とおっしゃる割にはですね、そういう特定秘密保護法のときに議論の末できた情報監視審査会の制度などがすっぽり抜けているということが一つでございます。
それから私、今日6ページの最後に福田元総理大臣のお話を引用しておきましたけども、国の歴史を作り上げていくのがこの公文書だ。公文書は石垣を積み上げて基礎を作り、その上に城を築く。国で作成した文書・資料が歴史を作っていく、そのパーツが公文書なんだと。
ですから、重要経済安保情報もですね。政府が作成または取得したものは行政文書になりますから、この法案の46条など4条6項などはとても大事なとこですね。あまり議論されてませんけども、重要経済安保情報が国立公文書館に移管されて、将来チェックされるというようなシステムで入れていただいている点は、こういう国の歴史のあり方、石垣という言葉にあるですね、そういうものの重要性ということを踏まえていると思っておりますので、そういう点は尊重しながら、もう一度作り直していただきたいというのが私の立場でございます。
質疑者等
中山展宏・衆議院議員(自由民主党)