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こども大綱とは?検討と進め方や内容についてわかりやすく解説

投稿日2024.2.8
最終更新日2024.02.08

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「こども大綱」とは、2023年12月に決定されたこども政策を総合的に推進するための基本的な政策の枠組みを指します。

少子化が深刻な問題となっている日本において、こども大綱は日本の子どもと若者の未来のための戦略であり、少子化対策の一環でもあります。

本記事では、こども大綱に関する以下のことについて解説を行います。

  • こども大綱とは
  • こどもまんなか社会について
  • 障がい児支援と医療ケア児等への支援
  • 児童虐待防止対策
  • ヤングケアラー支援
  • 妊娠前からの切れ目ない保健や医療の確保

こども家庭庁について詳しく知りたい方は下記の記事もご覧ください。

こども家庭庁とは?役割と設置の背景をわかりやすく解説

2023年4月に発足したこども家庭庁とは、どのような役割が期待されているのでしょうか? この記事では、以下について紹介していきます。 こども家庭庁とは? こども家庭庁が創設された背景 こども家庭庁の政策の柱・組織の役割 こども家庭庁の抱える課題 本記事がお役に立てば幸いです。 1、こども家庭庁とは? こども家庭庁とは、子どもの育成を支援するための...

1、こども大綱とは

こども大綱とは

こども大綱は、2023年4月に施行された「こども基本法」に基づく、こども施策を総合的に推進するための政策の枠組みです。
全てのこども・若者が身体的・精神的・社会的に幸せな状態で生活することができる「こどもまんなか社会」の実現を目指しています。

(1)こどもまんなか社会とは

こどもまんなか社会とは、子どもに関する取組や政策を社会の真ん中に捉えることを指します。

子どもや子育てをしている人が自分らしさを失わず、健やかに安心して生活を送れるように権利を大切にし、子どもにとっての最善を考える取組です。

参考:こども家庭庁「こどもまんなかアクション」

小倉將信 元こども政策担当大臣のインタビュー記事はこちらをご覧ください。

「こどもまんなか社会」の実現へ。小倉大臣に聞く日本の少子化対策・男女共同参画

日本では少子化が進んでいます。 2021年の出生数は81万1622人と6年連続で過去最少を更新しました。 そこで今回は内閣府特命担当大臣(少子化対策・男女共同参画)に就任された小倉將信大臣(以下、小倉大臣)に、今後の少子化対策のあるべき姿やこども政策、女性活躍について伺いました。 小倉 將信 氏 1981年生まれ。衆議院議員(4期)。2022年8月 内閣府特命担当大臣(...

(2)こども大綱の基本方針

こども大綱とは

参考:こども家庭庁「こども大綱の推進」「こども大綱」

① こども・若者は権利の主体であり、今とこれからの最善の利益を図ること

子どもや若者は、保護者や社会の支えを受けつつ、自分らしい個人として成長し、自分の意見を持って社会に参加し、自分の選択と目標を追求する必要があります。生まれながら持った権利を尊重し、保護されるべきであると考えます。

すべての子どもや若者の多様性を認め、彼らの権利を守り、将来の最善の利益を考えます。社会全体が「こどもとともに」という姿勢で、こどもや若者の自己選択、自己決定、自己実現をサポートする必要があるため、成育環境による差別的な取り扱いを防ぎ、虐待、いじめ、暴力などからこどもを守り、助ける仕組みが必要です。

② こども・若者や子育て当事者とともに進めていくこと

子どもや若者は、自分の意見を持ち、それを伝えたり社会で活動したりできるように支援されなければなりません。

子どもや若者の最善の利益を考えると、年齢や成長段階に応じて、彼らの意見を尊重することが重要です。

意見の表明を行ったり社会に参加したりするためには、意見を形成するサポートや意見を言いやすい環境の整備も重要であると考えます。

困難な状況にいるこどもや若者、また声をなかなか聴いてもらえない状況にあるこどもや若者にも、しっかりと気配りをする必要があります。

③ ライフステージに応じて切れ目なく十分に支援すること

子どもや若者の状況に応じて、必要な支援が特定の年齢で途切れることなく行われる必要があります。自分らしく社会生活が送れるようになるまでを社会全体で切れ目なく支えます。

「子育て」とは、子どもの誕生前から男女ともに始まっており、乳幼児期の後も、学童期、思春期、青年期を経て、おとなになるライフステージを通じて、社会全体で子育て当事者を支え支援する必要があります。

④ 良好な成育環境を確保し、貧困と格差の解消を図ること

乳幼児期からの安定した愛着の形成を保障するとともに、愛着を土台として全てのこどもや若者が相互に人格と個性を尊重する必要があります。

安全で安心して過ごせる多くの居場所を持ち、様々な学びや多様な体験活動や、外遊びの機会を得て、自己肯定感や自己有用感を高め、幸せな状態で成長できるようサポートします。

自分らしく社会生活を営むことができ るように取り組み、困難な状況にあるこども

や若者や家庭を誰一人取り残さず、その特性や支援ニーズに応じてきめ細かい支援や合理的配慮を行います。

⑤ 若い世代の生活の基盤の安定を確保し、若い世代の視点に立った結婚・子育ての希望を実現すること

若い世代が「人生のラッシュアワー」と言われる様々なライフイベントが重なる時期において、社会の中で自らを活かす場を持ち、現在の所得や将来の見通しを持てるように支援します。

多様な価値観や考え方を尊重することを大前提として、どのような選択をしても不利を被らないようにすることが重要です。

その上で、 若い世代の意見に真摯に耳を傾けて視点に立ち、若い世代が自らの主体的な選択により、結婚し、こどもを産み、育てたいと望んだ場合に、それぞれの希望に応じて社会全体で支えていきます。

共働きや共育てを推進し、育児負担が女性に集中している実態を変え、男性の家事や子育てへの参画を促進します。

⑥施策の総合性を確保すること

上記5つの政策をもとに、関係省庁や地方自治体、民間団体との連携を行い誰一人取りこぼさないように支援を行う必要があります。

2、障がい児支援と医療ケア児等への支援

こども大綱とは

こども大綱では、障がい児支援や医療的ケアが必要な子どもへの支援も重視しています。

特性や障がいのある子どもや若者が社会で孤立しないように地域社会への参加や包括(インクルージョン)を推進し、それぞれが置かれた立場やライフステージに応じて発達や将来の自立、社会参加ができるよう支援が必要だと認識しています。

障がい児や医療ケア児に対しての特別児童扶養手当等の経済的支援や、子どもや家族に寄り添った状況に応じて質の高い支援の提供を進めていきます。

安心して地域社会で暮らせるよう、児童発達支援センターの機能変化や保育所等への巡回支援の充実や、地域における障がい児の支援体制の強化を行います。それによる生涯にわたる学習支援の充実も図ります。

また、支援が手薄になりがちな障がい児や医療ケア児の保護者やきょうだい児への支援も子ども大綱では進めていく方針です。

3、児童虐待防止対策

こども大綱とは

こども大綱では、児童虐待防止対策等の更なる強化を目指しています。

児童虐待は子どもの心身に深い傷を残し、成長し大人になっても様々な生きづらさに繋がると考えています。どのような背景や思想信条があっても、虐待は許されるものではありません。

しかし、虐待に至ってしまった保護者も、自らの被虐待経験や貧困、疾病、障がい等の様々な困難が背景に多いという現実もあります。そのため、養育者自身が置かれている困難に対する支援を社会全体で提供し、子育てに困難を抱えている世帯を包括的に支援できる体制の強化を行います。

具体的には、以下の支援を行います。

  • こども家庭センターの設置
  • 訪問家事支援等の家事支援
  • 子どもや親子の居場所支援の推進等

こども大綱では、虐待により親子が傷つく前にSOSを早期に把握し、支援に繋げていく必要があると述べています。

迅速な支援に結びつけるために市町村の支援を含め、要保護児童対策協議会などの地域のネットワークと一体となって継続的に支えて虐待予防の取り組みを強化していきます。

4、ヤングケアラーの支援

こども大綱には「ヤングケアラー」支援の必要性も盛り込まれています。

ヤングケアラーとは、大人が担うような介護や看護、家事、家族の世話を日常的に行っている子どもを指します。

ケアや家事が日常化し、学業や友人関係等に支障がでてしまうなどの個人の権利に重大な侵害が出ている状態にも関わらず、本人や家族がその自覚がない場合もあります。

そのため、ヤングケアラーの問題は顕在化しづらく、関係者が情報共有や連携を行い、早期発見、把握をしなくてはなりません。こどもの意向に寄り添いながら必要な支援に繋げていく必要があるとしています。

5、妊娠前からの切れ目ない保健や医療の確保

こども大綱とは

こども大綱では、不妊症や不育症、出生前検査など妊娠・出産に関する正しい知識の普及や相談体制の強化を図ると明記しています。

現在の日本の課題である少子化を食い止めるために、妊娠を希望している夫婦全員が妊娠や出産に至れるようなサポート体制を作成する意図が伺えます。

2022年4月から不妊治療が保険適応になり、これまで金銭的な面で不妊治療に挑めなかった世帯も不妊治療に挑戦できるようになりました。不妊治療のみならず、出産費用(正常分娩)の保険適用の導入や、安全な無痛分娩の推進など出産に関する支援等の更なる強化について検討を進めるとしています。

また、こども大綱では、周産期医療の集約化・重点化を推進し、地域の周産期医療体制を確保するとしています。

現在、日本の分娩場所は年々減少しています。

地域の周産期医療体制を確保し、里帰り出産を行う妊産婦への支援や、医療と母子保健との連携を推進することとしています。

また、核家族化が進む母親の課題として、社会から孤立してしまうという課題もあります。そのため、産後ケア事業の提供体制の確保や養育者のメンタルヘルスに係る取組を進めるなど、産前産後の支援の充実と体制強化を行うとしています。

子どもの成長と共に相談支援等を行うこども家庭センターにおいて子育て期を通じた切れ目のない継続的な支援を提供できる体制を構築し、妊娠期からの切れ目のない支援を明記しています。

中には予期せぬ妊娠で周囲に打ち明けられず、1人で悩む女性もいます。そういった人が必要な支援を受けられるよう、乳児院や母子生活支援、施設、NPOなどの民間団体とも連携しながら、取組を進めるとしています。

PoloPoliで公開されている子育て関連の取り組み

誰でも政策に意見を届けることができる、政策共創プラットフォーム『PoliPoli』では、こども・若者が輝く未来の実現のための政策について、以下のような政策が掲載されています。

あなたの願いや意見が政策に反映されるかもしれないので、是非下記のリンクからコメントしてみてください。
PoliPoli|こども・若者が輝く未来の実現のために

(1)こども・若者が輝く未来の実現のためにの政策提案者

議員名 加藤 勝信
政党 衆議院議員・自由民主党
プロフィール https://polipoli-web.com/politicians/58jeTDCmxNRP6ROPz1Qv/profile

 

(2)こども・若者が輝く未来の実現のためにの政策目標

政策目標は主に以下の通りです。

  • すべてのこどもたちが未来に希望を抱き、歩んでいけるよう、どのようなサポートが必要か意見をお寄せください

(3)実現への取り組み

実現への取り組みは以下の通りです。

  • こども・若者の最善の利益を第一に考え、こどもに関する取組や政策を我が国社会の真中に捉えて進めていく
  • 自民党の「こども・若者」輝く未来実現会議で具体策を検討
  • 「こども基本法案」の成立に向け各党や関係行政機関などと調整

この政策の詳細をより知りたい方や、政策の進捗を確認したい方は下記リンクからご確認ください。

こども・若者が輝く未来の実現のために

この記事の監修者
政治ドットコム 編集部
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