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外国人労働者とは?外国人労働者の受け入れ拡大と注意点について

投稿日2021.3.12
最終更新日2021.03.12

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外国人労働者とは外国籍を有する労働者のことです。
日本では外国人労働者の受け入れ推進の為、2019年4月から出入国管理法(入管法)が改正されました。

新しい在留資格が創設され、特定技能外国人の受け入れが開始されます。
本記事では

  • 外国人労働者とは具体的に何なのか
  • 出入国管理法(入管法)とは
  • 新しい在留資格とはどのようなものか、何が変わるのか

についてご紹介します。
特定技能外国人の受け入れを考えている方にも、参考になれば幸いです。

1、外国人労働者とは|改正入管法(改正出入国管理法)

外国人労働者
外国人労働者とは外国籍を有し、日本で働く労働者のことです。
グローバル化の影響により、日本の会社で就労する外国人労働者も年々増加傾向にあります。

外国人労働者は、主に2種類に大別され、専門的・技術的な知識を有する熟練労働者と、それ以外の非熟練労働者が存在します。

日本において、従来は大学教授や医師などの「専門的・技術分野」に限定して、世界から外国人労働者の受入れを積極的に行って来ました。

これらの職業にはご存知の様に高度な知識と技術が求められます。

平成24年から導入された、出入国管理上の優遇制度が適用される高度外国人材もその一つです。
対して開発途上国への技術移転を目的として受け入れる技能実習生や、資格外活動としてアルバイトを行う留学生(主に中国などのアジアの人々が見受けられます)なども、日本での就労が認められています。

しかし日本ではこちらの非熟練労働者を積極的に受け入れてはいませんでした。
ところが入管法(出入国管理法)の改正により、状況は変わります。

改正入管法とは、新しい在留資格である「特定技能一号」「特定技能二号」の創設等を目的とした法律のことです。
新しく創設された特定技能は、国内の労働力確保のために、一定の知識・技能を有し、即戦力となる外国人を集めることを目的としています。

前述した医師や大学教授に従事する人々とは異なり、一定程度の水準の技能・日本語能力を有している者であれば、資格を得て働くことができます。

この新制度の成立背景には特に中小企業・小規模事業者において、人手不足が深刻化している現状があります。

従来の技能実習制度は、技術移転を目的としています。
その為、人材不足を補うために雇用することはできません。

それにもかかわらず、技能実習生を実習の建前で、低賃金・重労働で働かせているといった実態が問題になりました。
また一時期には、外国人留学生が出稼ぎ目的で来日し、規定の上限時間を大幅に超えて働く、偽装留学生問題が話題になりました。

こうした問題を特定技能という新たな制度で是正する狙いがあります。
この新しい在留資格である特定技能の具体的範囲を確認していきましょう。

(1)特定産業分野(14分野)

特定産業分野とは、主に人手不足が顕著な分野です。
具体的には、「生産性向上や国内人材確保のための取組を行ってもなお、人材を確保することが困難な状況にある産業上の分野」であり、それは以下の14種類になります。

  • 介護
  • ビルクリーニング
  • 素形材産業
  • 産業機械製造業
  • 電気、電子情報関連産業
  • 建設
  • 造船、舶用工業
  • 自動車整備
  • 航空
  • 宿泊
  • 農業
  • 漁業
  • 飲食料品製造業
  • 外食業

特定技能一号は14分野全て、特定技能二号は「建設、造船・舶用工業のみ」の受入れとなっています。
特定技能一号と二号について以下でより詳しく見ていきましょう。

①特定技能一号

特定技能一号は「特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする」資格です。
技能試験や日本語能力試験に合格することが、資格取得の要件です。
在留期間は、通算で上限5年までであり、家族の帯同は認めていません。

②特定技能二号

特定産業分野の中でも、建設、造船・舶用工業の2業種で認められている在留資格です。
特定技能二号は「特定産業分野に属する熟練した技能を要する」とされていて、一号に比べて高度な試験に合格する必要があります。

在留期間は何回でも更新でき、期間の上限はなく、家族の帯同が認められます。
これは実質的に永住を認めることになります。

特定技能1 特定技能2
在留期間 通算で上限5年まで(更新できない) 制限無く更新できる
技能水準 試験等で確認(技能実習2号を修了した外国人は試験等免除) 試験等で確認
日本語能力水準 生活や業務に必要な日本語能力を試験等で確認(技能実習2号を修了した外国人は試験等免除) 試験等は不要
家族の帯同 基本的に認めない 要件を満たせば可能(配偶者、子)
受入れ機関又は登録支援機関による支援(生活オリエンテーション等) 支援対象 対象外

 

出入国在留管理庁『在留資格「特定技能」について』平成31年4月を参考に作成)

2、外国人労働者を雇用すると助成金が申請できる

外国人労働者の受け入れにより、人手不足の解消や社内のグローバル化が期待されますが、国の助成金制度を利用することもできます。

(1)中小企業緊急雇用安定助成金|雇用調整助成金

中小企業緊急雇用安定助成金とは、景気の変動により企業収益の悪化した中小企業事業主を対象としています。

事業活動の縮小を余儀なくされ、雇用者(外国人労働者を含む)を一時的に休業、職業訓練、又は出向させた場合に、手当・賃金負担額の一部を助成するものです。
失業の予防、雇用の安定を目的としています。

対して雇用調整助成金は中小企業に限定されず、事業活動の縮小を行った大企業にも適用があります。
売上高・生産量の要件が10%となり、基準を満たすことで適用されます。

助成額の割合は中小企業と大企業で異なっていて、休業を実施した場合の助成額は中小企業の場合は1/2、大企業では1/3です。

(2)特定求職者雇用開発助成金

特定求職者雇用開発助成金とは、高年齢者や障害者等の就職困難者(外国人労働者を含む)を雇用する事業主を対象として適用されます。
ハローワーク等の紹介により、継続して雇用することなどが要件とされます。

(3)トライアル雇用奨励金

トライアル雇用奨励金とは、ハローワーク等の紹介により、トライアルとして一定期間休職者を雇用した場合に利用できます。求人者にとっては求職者の適性を見極められること、求職者にとっては雇用機会に繋がるというメリットがあります。

ちなみに原則3か月のトライアル雇用をすること等が要件となります。
これら4つの助成金は外国人労働者を雇用した際に活用できる場合がありますので、厚生労働省のホームページを確認してみると良いかもしれません。

3、外国人労働者を雇う上で知っておくべき注意点

注意点
外国人労働者を雇う際に最低限知っておくべき部分についてまとめました。

(1)在留資格の確認|就労ビザ

ビザ、在留資格、就労ビザはそれぞれ異なるものなので、注意が必要です。
ビザ免除の対象ではない国から日本に入国する外国人は、入国許可審査のためにビザ(査証)が必要になります。

ビザを有していても、就労が可能であるとは限りません。
ビザには様々な種類があり、就労が可能な在留資格に基づいて発行されるものは、就労ビザ等があります。
これを有していない外国人は雇うことができません。

永住者や日本人の配偶者等は就労活動に制限はありません。
しかし、多くの在留資格では、就労制限があります。

例えば、エンジニアなどの技術分野の在留資格を有している者が、その他の分野で就業することはできません。
雇用する際には、就労可能範囲が一致しているかどうかを確認するようにしてください。

外国人の方を雇い入れる際には、在留資格、在留期間、就労の可否などが記載されている「在留カード」等で確認するといいかもしれません。

(2)留学生の資格外活動(アルバイト)

外国人留学生は、基本的に就労が認められていません。
ただし、資格外活動許可を受けた場合には、アルバイトを行うことができます。

資格外活動許可を受けている場合は、パスポートの許可証印又は「資格外活動許可書」が交付されていますので、それを確認してください。

アルバイト先が風俗営業又は風俗関係営業が含まれている営業所に係る場所でないことを条件に、1週28時間以内で、勤務先や時間帯を特定することなく雇用できます。

(3)契約後にすべきこと

雇用契約を結んだ後には、以下の手続が必要になります。

①ハローワークに届出

社員・アルバイトを問わず、外国人労働者を雇用する事業主は、氏名や在留資格などについて確認し、ハローワークへ届け出ることが義務づけられています。
雇入れ時のみでなく、離職の際にも届け出が必要です。
インターネットからも届出ができます。

②社会保険への加入

日本人労働者と同じ雇用条件で働いている外国人(在留期間が3か月を超える場合)は、健康保険・厚生年金保険に加入させなければなりません。
保険料がかかることもしっかり説明しなくてはなりません。

③就業規則の交付

日本人を雇用する場合と同様に、就業規則を交付しましょう。
特に、異なる文化・価値観を持つ外国人に対しては、あらかじめ社内のルールを明確にしておくことで、トラブルが避けられることでしょう。
また外国人にも分かりやすい就業規則を作成しておくことをお勧めします。

(4)不法就労に注意

就労可能な在留資格を有してない、又は在留期間・在留資格を超えて働いていた、といった場合、不法就労にあたります。
不法就労をしている外国人は、退去等に処せられます。

不法就労の例

  • 密入国した人や在留期限の切れた人が働く
  • 退去されることが既に決まっている人が働く
  • 外国料理のコックや語学学校の先生として働くことを認められた人が工場・事業所で単純労働者として働く
  • 留学生が許可された時間数を超えて働く
  • 観光等短期滞在目的で入国した人が働く
  • 留学生や難民認定申請中の人が許可を受けずに働く

対して雇用者側は「不法就労助長罪」として、3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれらを併科すると定められています。

外国人を雇用しようとする際に、当該外国人が不法就労者であることを知らなかったとしても、在留カードを確認していない等の過失がある場合には処罰を免れません。
雇用前に在留資格をしっかりと確認し、就労ビザの更新時期等を管理することが大切です。

また、求人の際には、外国人の違法なあっせんを行う仲介業者(悪質ブローカー)に注意してください。
派遣労働者として外国人を受け入れるときは、派遣元事業主が厚生労働大臣の許可を受けた業者であるかどうかの確認をしましょう。

まとめ

今回は外国人労働者について解説させて頂きました。
制度改革により外国人労働者の受け入れ拡大が進み、日本で活躍する外国人労働者が令和になって今後ますます増えていくことが期待されます。

人手不足の解消のみでなく、今までに無かった発想や価値観に触れることで企業が発展し、事業拡大の一助になるかもしれません。

同時に外国人労働者の賃金問題や劣悪な労働実態などの課題も明るみに出ており、政府が対策を行い、より制度整備に尽力する必要が考えられます。

 

この記事の監修者
政治ドットコム 編集部
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