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官房長官とは?役割や年収、官房長官になる方法をわかりやすく解説

投稿日2022.9.21
最終更新日2024.02.08

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官房長官とは、内閣総理大臣の下で「日本の政治のナンバー2」の仕事をしている人です。
内閣総理大臣の側近集団である「内閣官房」という組織のトップの役職で、緊急事態時には総理大臣の仕事を代行することもあります。

政治的にも人間関係的にも総理と近い「右腕」のような人が官房長官に任命され、首相官邸にも出入りすることが多いです。

また、日本の政治では官房長官経験者が総理大臣になるパターンが多く、「総理大臣の後継者候補」とも言われることがあります。

今回は

  • 官房長官の具体的業務内容
  • 収入などの待遇
  • 官房長官のなり方

などについて解説します。

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1、官房長官の仕事・役割

官房長官

内閣には防衛大臣や外務大臣、財務大臣などの大臣がいますが、これらの大臣の間を取り持って、総理大臣の意思が実際の政治に行き渡るようにするのが官房長官の重要な役割です。

また、戦争や災害などの緊急事態が生じたときに備えて、内閣総理大臣が外国に行く場合、官房長官は必ず国内にいて留守を守るのが慣習となっています。

総理大臣が病気になったり、死亡したりしたときに、臨時で総理大臣の代行をする人として「内閣総理大臣臨時代理就任順位」というものが決められていますが、官房長官はこの順位でも第1位または第2位となることが多いです。

2019年の第四次安倍内閣では、財務大臣である麻生太郎さんが第1位、官房長官である菅義偉さんは第2位の就任順位となっています。

実際に、平成12年に小渕恵三総理大臣が病気で急死したときには、当時の官房長官であった青木幹雄さんが臨時に総理大臣の役職を引き継ぎました。

(1)官房長官は官僚のトップ

 

官房長官とは

官房長官は、内閣官房という約1200人の組織のトップの役職です。

日本の官僚組織には財務省、外務省、総務省…といろいろな省庁がありますが、内閣官房はそれら省庁よりも上の位置にある組織とされています。

というのも、内閣官房の中には「内閣人事局」という部署がありますが、この内閣人事局は他の省庁の幹部職員の任免を決めているからです。

内閣官房組織図

(画像引用元:内閣官房

かつては省庁それぞれが事務次官以下の幹部職員を独自に決めていましたが、行政の縦割りが進み硬直的な組織になりすぎるという弊害が指摘されたこともあって、平成26年以降は内閣人事局が幹部職員の人事を決めるルールに変わりました。

他にも、内閣官房は緊急事態に備えている「国家安全保障局」や、保安に関する情報収集を行っている「内閣情報調査室」などの組織も持っています。

これらの側近集団のトップとして任命される官房長官は、内閣総理大臣自身との人間関係が近い、「右腕」と目される人が任命されるのが通例となっています。

参考:内閣官房「一般職国家公務員在職状況統計表

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(2)内閣の接待費管理

接待

内閣が1年間で使えるお金は、国会で予算という形で決まります。
この予算は「何にお金を使うのか」を明確にしなくてはなりませんが、中には「現時点では何に使うかはわからないけれど、とりあえず政府が予算として確保できるお金」というものが存在します。

これが官房機密費や報償費と呼ばれるお金で、毎年約10億円〜15億円という大きな金額が計上されています。
官房長官は、この官房機密費の支出の仕方を自由に決めることができます。

普通の政府の支出では、「誰に対して、どのような内容のお金を、いくら払ったのか」を、領収書をつけて報告しなくてはなりませんが、官房機密費の場合にはこのような領収書をもらって報告する必要がないルールになっているのです。

内閣が使うお金は、いうまでもなく私たち国民が納めている税金から支出されます。
当然ながらそのお金を何に使うのか?については厳しいチェックをする必要がありますが、官房機密費はそうしたお金の中でも例外中の例外といえるものです。

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(3)内閣のスポークスマン

内閣のスポークスマンとは、重要な政治の意思決定が行われたとき、その内容を国民にわかりやすく伝える人のことです。

具体的には、官房長官は総理大臣に代わって、平日は1日2回(午前と午後)記者会見を行っています。
記者会見の中では、新聞社の記者などから厳しい質問がされることもありますから、日本の政治全般について理解していなくてはならないのです。

ちなみに、新聞の中の表現で「政府首脳によると…」という表現がされることがありますが、これは実は「官房長官が取材に対して話した内容によると…」といっているのと同じ意味になります。

また、官房長官は、政治的に重要な記者会見を行うことがあります。
例えば、2019年に「令和」の元号発表の記者会見を行ったのは、安倍晋三内閣の菅義偉さんでしたし、1989年に「平成」の元号発表を行なったのは、当時竹下登内閣の小渕恵三さんでした。

(4)将来の総理大臣候補

総理大臣

官房長官は、「将来の総理大臣候補」としての役割も期待されています。
1955年以降は、基本的に自由民主党が内閣総理大臣を出してきていますが、「官房長官を数年間経験した後に総理大臣になる」というパターンが多く見られます。

  • 安倍晋三:小泉純一郎内閣で官房長官
  • 福田康夫:森喜朗内閣、小泉純一郎内閣で官房長官
  • 小渕恵三:竹下登内閣で官房長官
  • 宮澤喜一:鈴木善幸内閣で官房長官
  • 竹下登 :田中角栄内閣で官房長官

官房長官は、日本の政治全般に関する重要な意思決定を経験しますから、総理大臣となるための登竜門として位置付けられている側面があるのです。

長期政権となっている安倍晋三内閣の後を継ぐ「ポスト安倍」が話題になっていますが、現在の官房長官である菅義偉さんは、有力な総理大臣候補ということが言えるでしょう。

とはいえ、自民党政権以外ではこうした慣習はありませんし、自民党政権においても、最近ではこのパターンで総理大臣になるケースは少なくなっています。

2、官房長官の年収

国務大臣としての給与(月額146万6000円) 1759万2000円
国会議員のボーナス(年1回) 635万円
特別手当(文書通信交通滞在費、立法事務費など) 1980万円
年収 約4300万円

国会議員の正確な所得金額は、衆議院、参議院の議員会館で閲覧することができます(所得金額がトップクラスである議員の所得については、新聞社などがインターネット上の情報として公開することがありますが、現在の菅義偉官房長官の所得情報は公開されていません)。

官房長官は、国務大臣が任命されることになっています(内閣法第13条第2項)。
国務大臣としての給与は月額146万6000円と決まっていますので、年収にすると1759万2000円となります(特別職の職員の給与に関する法律第3条別表第1)。
平均的な社会人とは年収に随分開きがあることがわかります。

国会議員の給与のことを「歳費」とよび、月額129万4000円(年額1552万8000円、ボーナスは年1回635万円)が支給されます(国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律)。

ただし、国会議員が国務大臣となる場合には、国会議員としての月額給与はもらえません(ボーナスはもらえます)。
そのため、国務大臣としての給与1759万2000円に635万円をプラスした2394万2000円が、実際の官房長官の年収ということになります。

なお、国会議員には特別な手当として文書通信交通滞在費(年額1200万円)、立法事務費(年額780万円)などが与えられますので、合計すると1980万円がプラスされます。これらを加味すると、実際の官房長官の年収約4300万円です。

さらにいうと、これに加えて政党に所属する国会議員には、政党交付金というお金が支給されます。
政党交付金は政党に対して支給されるお金なので国会議員個人のお金ではありませんが、実際には所属する政党からお金が分配されています。

自民党の場合、年間でおよそ176億円の政党交付金が国庫から支給されていますので、この中から自民党所属の議員に対していくらかが支給されているものと思われます。

3、官房長官になるには

官房長官になるためには、内閣総理大臣から内閣のメンバーとして任命される必要があります。
国務大臣は必ずしも国会議員である必要はありません

内閣総理大臣は国務大臣を任命しますが、国務大臣全員のうち過半数が国会議員であればOKという扱いになっていますから、国会議員でなくても国務大臣である官房長官に任命される可能性はあります(日本国憲法第68条第1項)。

(1)国会議員として当選を重ねる

とはいえ、実際は国会議員(特に衆議院議員)から選ばれるのが通例となっています。
まずは国会議員としての当選回数を重ねていく必要があるでしょう。

官房長官は非常に高い実務能力が求められますから、国務大臣としての経験を積む必要があります。
政治一般への理解、経済や環境の知識も重要です。

(2)総理大臣との信頼関係を築く力

総理大臣と政治的な立場が非常に近い人が任命されるのが通例です。

2019年は菅義偉さんが務めていますが、第1次安倍内閣で地方分権改革の特命担当大臣を務めた後、拉致問題担当大臣、総務大臣と重要な閣僚ポストを経験した後に官房長官になっています。

国会議員としての人気と複数の閣僚経験に基づく高い政務に関する実務能力、さらには志を同じくする総理大臣との信頼関係という、極めて高いハードルを超える必要があるのです。

総理大臣や国会議員になるには?という疑問に対しては以下の関連記事でお答えしていますので是非ご覧下さい。

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官房長官に関するQ&A

Q1.官房長官の立場はどのくらい?

官房長官は、内閣総理大臣の下で「日本の政治のナンバー2」の仕事をしている人です。
内閣総理大臣の側近集団である「内閣官房」という組織のトップの役職で、緊急事態時には総理大臣の仕事を代行することもあります。

Q2.官房長官になるには?

官房長官になるためには、内閣総理大臣から内閣のメンバーとして任命される必要があります。
国務大臣は必ずしも国会議員である必要はありません。

内閣総理大臣は国務大臣を任命しますが、国務大臣全員のうち過半数が国会議員であればOKという扱いになっていますから、国会議員でなくても国務大臣である官房長官に任命される可能性はあります(日本国憲法第68条第1項)。

Q3.官房長官の年収は?

国務大臣としての年収が1759万2000円。そこに年一回のボーナスと特別手当を加えると約4300万円です。

まとめ

本文でも見た通り、官房長官は内閣官房という「総理大臣の側近集団(約700人)」のトップに立つ役職です。
日常的に総理大臣の右腕としての役割を担う他、官房長官経験者は総理大臣の後継候補となることが多いですから、非常に重要なポストということができるでしょう。

官房長官の役割について理解しておくと、日本の政治ニュースへの理解度が増すことは間違いありません。

この記事の監修者
政治ドットコム 編集部
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