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財務省とは?組織の役割・組織図・幹部・業務内容について簡単解説

投稿日2022.9.22
最終更新日2023.04.27

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財務省とは国家予算の編成や税制度の見直しを行う部門です。

2023年10月にはインボイス制度が始まることもあり、ニュースや新聞で財務省という単語を目にすることがあると思います。

しかし、実際に財務省という機関が何をしているのかわからないという方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は以下についてわかりやすく解説します。

  • 財務省とは
  • 現在の財務省トップ
  • 財務省が担当している仕事

省庁について詳しく知りたい方は以下の記事もご覧ください。

省庁とは?1府11省1庁(1府12省庁)について簡単解説

「省庁とは何か?」と聞かれても、漠然としていて答えられない人は多いかもしれません。 日本には1府11省1庁(1府11省2庁、1府12省庁とされる場合もあります)の「省庁」があり、それぞれに持つ役割や規模によって名称が分けられています(※)。 どの省庁も私たちの生活に密接に関係しているので、この記事を読んでぜひ学んでください。 今回は 省庁の定義 中央省庁再編の内容...

1、財務省とは

財務省

画像引用元:財務省ホームページ

財務省は中央官庁の一つで、国の予算編成などを行う部門を担当しています。
前身の大蔵省時代から官庁の中の官庁といわれ、高級官僚の中でもエリートが集まる省庁として知られていました。

これは国の予算を一手に握り、各省庁を事実上支配していた構造によるものです。
財務省の歴史は1869年(明治2年)、 大蔵省として創設したことから始まります。

このころの大蔵省は、 財政を全面的に管理するだけではなく、 有効な予算配分を行いながら国の産業を発展させるという、横断的な省庁の役割も担っていました。

絶大な権限は省庁の創設期から確立されていたようです。
財務省は、2001年(平成13年)、中央省庁の再編により、大蔵省から財務省へと名称が変更されました。

中央省庁の再編とは、政治主導の行政を実現しようということでした。

それまでの日本では官僚の力が強く、官僚主導による行政の弊害が度々問題になっていました。 これを選挙で選ばれた政治家によってコントロールすることが当初の目的です。

財務省
大蔵省が担っていた金融行政は、内閣府に属する金融庁という新しい行政機関が引き継ぐことになります。

グローバル化とITの進展によって金融機関は荒波に飲まれています。
めまぐるしい金融機関において検査、監督を独立した金融庁が行うことは、日本の金融業界にとっても大きなメリットがあるといわれています。

大蔵省の事実上の解体により財務省と金融庁が誕生したことは、国内の財政と金融の健全化にとっては計り知れない効果をもたらしたようです。

財務省の組織は大きく三つに分けることができます。

  • 内部部局
  • 地方支分部局
  • 外局

財務省の組織図はこちらのリンクから確認することができます。

(1)内部部局

内部部局の中には、「大臣官房」、「主計局」、「主税局」、「関税局」、「理財」、「国際局」が あります。

またこの下に、主計局司計課や主税局税制第一課などがあり、組織がより細分化されています。

(2)地方支分部局

地方支分部局には、「財務局」が置かれており、

  • 北海道財務局
  • 東北財務局
  • 関東財務局
  • 北陸財務局
  • 東海財務局
  • 近畿財務局
  • 中国財務局
  • 近畿財務局
  • 四国財務局
  • 九州財務局

を設置しています。

これらは各地域の財務窓口としての役割を果たしています。

(3)外局

外局には国税庁などが置かれています。
国税庁の職員数は約56,000人と 、財務省の中でも最も大きな組織です。

これは税の徴収という国の根幹部分を担っているため、どうしても組織が巨大化するものと考えられます。

外局の国税庁と本省を加えた職員数は約7万人と、中央官庁で最大級の組織を誇っています。

参考:財務総合政策研究所財務省ホームページ

2、現在の財務省トップ

リーダー

財務省のトップとは、財務大臣のことです。
2023年現在、鈴木俊一氏が財務大臣を務めています。

日本では自民党が長きにわたって政権の座に就いていますが、財務大臣に就任する政治家は、経済、財政に精通し、当選回数が多いことが慣習として続いています。

財務大臣というのは閣僚の中でも、最重要大臣と位置づけられています。

このため元財務省のキャリア官僚であっても当選回数が少ないと就任することが難しく、またこれとは逆に当選回数が多いベテラン議員であっても経済通でなければ、これもまた財務大臣に就任することは難しいです。

自民党政権下では、財務大臣というのは当選回数、そして経済政策、さらには自民党内で影響力のある政治家が就任することが既定路線になっています。

財務省のトップというのは財務大臣ですが、もう一つ官僚のトップに財務事務次官というポストがあります。

財務大臣は内閣総理大臣が指名しますが、官僚トップである財務事務次官は省内の出世レースに勝ち抜いた官僚が就任します。

財務省の高級官僚は東大法学部出身の人たちが多数を占めています。
この中から主計局長など特定のポジションを経験した官僚だけが、事務次官に就任することが一般的です。

2023年現在、事務次官に就任している茶谷栄治氏は、1986年に東大法学部卒業後、旧大蔵省へ入省し、その後主計局長を経て、2022年に財務事務次官に就任しました。

2023年の幹部名簿は、財務省公式サイトで確認ができます。

3、財務省が担当している仕事


財務省が行うことができる仕事は、 財務省設置法という法律で定められています。
その内容は大まかにいうと、お金にまつわることを中心に行われます。

予算編成はその中でも最も重要な仕事です。
各省庁から出された概算要求を精査し、どのように配分するか、 企画立案しなければなりません。

また、その原資となる税金の制度を立案する作業も財務省の役割です。
対外的な貿易では、 外国製品における関税や世界貿易機関(WTO)の協定に関する事務事項も大切な仕事の一つです。

財政においては、 国債や地方債の発行、国有財産では管理、処分を通して財政収入の確保を求めます。

日本の中央銀行である「日本銀行」も財務省の所管です。
しかし、
1998年(平成10年)の日本銀行法改正により政府の権限が大幅に見直され、行政の監督権限は日本銀行の独立性及び透明性に配慮した必要最小限のものになっています。

参考:日本銀行

この他にも外国為替相場や ODA (政府開発援助)の政策にも関わるなど、財務省の業務が幅広く行われていることが分かります。

そこで次に財務省の具体的な主要業務を詳しくみていきましょう。

(1)国家予算の編成

まず財務省が予算案の第一次原案を作りますが、予算をめぐる攻防はその3ヶ月前からすでに戦いが始まっています。

6月から7月にかけて各省庁が概算要求(財務省に対してこの程度の予算が必要と要求すること)の準備に入ります。

8月下旬になると具体的数字が入った概算要求を財務省に提出します。
そして9月から12月にかけて財務省が各省庁にヒアリングを行います。

このようなプロセスを経て12月中旬には財務原案が内示され、閣議に提出されるという流れです。

そして12月下旬に復活折衝(財務省が各省庁の要求を拒否した事項について、再度各省庁から要求が行われること)が行われます。

各省庁と財務省の事務次官が交渉し、これで決着しなければそれぞれの大臣が話し合います。
ここでも決着しなければ 、自民党三役と財務大臣、各省庁の大臣が折衝して、閣議で最終決定することになります。

最後に、年明けの通常国会で衆参両院の議決を経て成立します。
国家予算というのは国民生活に直結する話です。

その企画立案を編成という形で財務省が作成します。
このように国の予算の枠組みを決定することができるのが、財務省の役割であり強みになっているのです。

国家予算がどのようにしてできるかについてより詳しく知りたい方は以下の関連記事をご覧下さい。

国家予算とは?予算案から発行までの8つのプロセスを簡単解説!

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(2)税制の企画

毎年、税制改正が行われます。

この素案をつくる税制の企画は、財務省にとって予算編成とともに重要な業務の一つです。
税制改正は、税金の徴収に関わる大きな問題のため、 国民や企業がその動向を注視します。

2020年度の改正ポイントを紹介すると、「未婚のひとり親 」に対して、所得税や個人住民税が減額されます。

一方で、「所有者不明の土地」には、固定資産税が課されます。
全国的な空き家問題に対応するため、事実上土地を利用している人を所有者と見なし、固定資産税が課されるようになりました。

また、次世代の通信規格5Gを促進させるため 、携帯電話会社が設備投資すれば、法人税の軽減をはかることにしています。

税制改正というのは、その時々の社会状況や課題とリンクしており、 素案つくりというのは税金の上げ下げだけにとどまらず、 社会の基盤づくりの強化に役立っているのです。

また有事の際に国民に対して集めた税から特例的な給付を行うかどうかを決定することに財務省は大きな影響力を持っています。

参考:財務省ホームページ

(3)途上国支援

日本は長年、開発途上国の支援を続けてきました。

途上国支援といってもいろいろな方法がありますが、最も有名なのは ODA(政府開発援助)です。
これは 途上国に対して資金の贈与や貸付、さらに技術提供などを行う支援策です 。

資金の贈与は無償資金協力といい、 資金の貸付は円借款(えんしゃっかん)と呼びます。

この資金で下水道を整備し 、学校や病院などの公共施設を建設します。
途上国の社会インフラにとって、日本の ODA(政府開発援助)は多大な貢献をしてきました。

この ODA(政府開発援助)の予算の枠組みを決めるのも財務省の業務です。
かつて日本の援助額は世界第1位でしたが、 今では世界第4位になっています。

国内の財政が厳しいことも影響しています。
ただ、世界トップレベルの援助金を拠出しているため、財務省の計画案次第で世界の評価も変わってきます。

参考:外務省ホームページ

(4)その他の業務

これ以外にも財務省は

  • 国の持つ不動産(建物や土地)の管理
  • 他国との経済的な関係を良好にする働きかけ
  • 麻薬、拳銃、偽ブランド品の国内流入防止

などの業務を行います。

財務省に関するFAQ

Q1.財務省とは?

財務省は中央官庁の一つで、国の予算編成や税制度の見直しなどを行う部門を担当しています。 前身の大蔵省時代から官庁の中の官庁といわれ、高級官僚の中でもエリートが集まる省庁として知られていました。

Q2.財務省の現在のトップは誰?

財務省のトップとは、財務大臣のことです。

2022年8月時点では、鈴木俊一衆議院議員が財務大臣を務めています。

Q3.財務省は具体的に何をしているのか?

財務省が行うことができる仕事は、 財務省設置法という法律で定められており、具体的な業務は以下の通りです。

  • 国家予算の編成
  • 税制の企画
  • 発展途上国の支援
  • 国の持つ不動産(建物や土地)の管理

などお金にまつわる業務を幅広く行なっています。

まとめ

財務省は財源の確保から課税の方法、 そして予算編成、さらには国債発行や途上国支援と、財政、金融政策の計画を立て、 効率的な予算配分を実現させることが主な業務です。

その結果が国民生活の安定につながります。

ニュースなどで次回財務省が取り上げられた際には、これらのことを意識して見ていただくとより興味深い発見があるかもしれません。

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この記事の監修者
政治ドットコム 編集部
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