「スポーツ庁」とはスポーツを通じて、国民が生涯にわたり心身ともに健康で文化的な生活を営むことができる社会の実現を目指す組織です。
日本の行政機関の一部であり、文部科学省が管轄しています。
オリンピック開催に伴い、スポーツ庁という言葉をたびたび耳にするようになったかもしれません。
しかし創設の背景や具体的な仕事内容について、知らない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は「スポーツ庁」について、以下のとおりご紹介します。
- スポーツ庁の概要
- スポーツ庁創設の背景
- スポーツ庁の組織図
- スポーツ庁による具体的な政策
本記事がお役に立てば幸いです。
省庁について詳しく知りたい方は以下の記事もご覧ください。
省庁とは?1府11省1庁(1府12省庁)について簡単解説
1、スポーツ庁とは
スポーツ庁とは、スポーツを通じて、国民が健康で文化的な生活を営むことができる社会の実現を目指す組織です。
「スポーツ」を軸に
- 文部科学省
- 経済産業省
- 厚生労働省
- 外務省
など省庁間の業務効率化を図るとともに、新たな相乗効果を生み出すものとして2015年の10月に設置されました。
管轄は文部科学省ですが、「スポーツ」という軸を元に、各省庁の垣根を越えて連携することもあります。
各省庁のスポーツ施策に関する司令塔的役割を果たす組織、と言えるかもしれません。
参考:スポーツ庁創設経緯
2、スポーツ庁創設の背景
このスポーツ庁は、なぜ生まれたのでしょうか。
スポーツ庁が創設された背景を
- スポーツ基本法の制定
- 東京2020オリンピック、パラリンピックの開催
の以上2つの出来事からご紹介します。
(1)スポーツ基本法の制定
まず2011年に、スポーツを通じて「国民が生涯にわたり心身ともに健康で文化的な生活を営むことができる社会の実現」を目指す、スポーツ基本法が制定されました。
主な内容は以下の通りです。
- 全ての国民のスポーツ機会の確保
- 健康長寿社会の実現
- スポーツを通じた地域活性化、経済活性化
これらを実現するためにスポーツという軸で指揮を取れるよう、スポーツ庁が設立されました。
(2)東京2020オリンピック、パラリンピックの開催
また2013年には、東京2020オリンピック・パラリンピックの開催が決定されました(2021年3月現時点で延期中)。
開催国として準備が必要となったことも、スポーツ庁創設の背景の1つです。
具体的には、以下の施策を実現する必要性が出てきました。
- 国際公約としてのスポーツによる国際貢献の実施
- 国民全体へのオリンピズム(オリンピックの精神)の普及
- 開催国としての我が国の競技力の向上
- 健常者・障害者のスポーツの一体的な推進
参考:スポーツ庁創設経緯
3、スポーツ庁の組織図
画像出典:組織図
続いて、スポーツ庁の組織についてご紹介します。
トップにはスポーツ庁長官がおり、幹部には
- 次長
- 審議官
- スポーツ統括官
がいます。
初代スポーツ庁長官は元競泳選手・金メダリストの鈴木大地氏でした。
また2020年10月1日からは、元ハンマー投げ選手・金メダリストの室伏広治氏が引き継いでいます。
組織としては主に以下9つに分かれます。
それぞれの役割と共に確認してみて下さい。
- 政策課:統括及び管理業務
- 学校体育室:政策課のうち、学校体育・運動部活動について
- 健康スポーツ課:スポーツの普及、地域クラブの育成など
- 障害者スポーツ振興室:健康スポーツ課のうち、障害者スポーツの充実について
- 競技スポーツ課:選手強化への支援、医科学を活用した競技力向上策の開発
- 国際課:国際競技大会の招致・開催、スポーツを通じた国際交流など
- オリンピック・パラリンピック課:オリンピズムの普及活動、東京大会に向けた活動
- 参事官(地域振興担当):地域スポーツ施設の充実、スポーツを通じた地域おこしの支援など
- 参事官(民間スポーツ担当):スポーツ団体のガバナンス改善、スポーツ人材の育成など
4、スポーツ庁の具体的政策
最後に、スポーツ庁が行う具体的な政策についてご紹介します。
2017年3月に策定された「第2期スポーツ基本計画」により、スポーツ庁は以下の11の指針を軸に、総合的かつ計画的にスポーツに関する施策に取り組んでいます。
- 制度・予算等:スポーツ基本法の理念を具体化し、スポーツ振興くじ(toto)による助成も含めて様々な財源を確保する
- 子どもの体力向上:子運動・スポーツに親しむ身体的能力の基礎を養い、病気から身体を守る体力を強化によってより健康な状態をつくる
- 学校体育・運動部活動:学習意欲の向上や責任感、連帯感を学ぶ重要な場となるため、運動部活動をより充実させる取り組みを行う
- 国民のスポーツライフ:成人の週1回以上のスポーツ実施率が65%程度、週3回以上のスポーツ実施率が30%程度となることを目標とする
- 障害者スポーツ:障害の有無等を問わず、広く人々がスポーツに参画できる環境を整備する
- 競技力の向上:その活躍が国民に対して誇りや喜び、夢と感動を与える、日本代表選手をサポート
- 国際交流・国際協力:スポーツの持つ価値を共有し、広める
- スポーツ施設の整備・運営:全ての人々がスポーツに親しみ、楽しめる環境づくり
- スポーツによる地域・経済の活性化:スポーツ産業の活性化、スポーツ環境の充実、スポーツ人口の拡大を目指す
- スポーツ界の透明性、公平・公正性の向上:スポーツ団体の運営の透明性確保、コンプライアンスの徹底
- スポーツを通じた女性の活躍促進:女性の社会参画・活躍を促進
これらを実現するためには、東京2020オリンピック・パラリンピックに関わる業務だけではなく、広い視野で活動にあたらなければならないと言えるでしょう。
参考:スポーツ庁 政策
スポーツ庁に関するQ&A
Q1.スポーツ庁とは?
スポーツ庁とは、スポーツを通じて、国民が健康で文化的な生活を営むことができる社会の実現を目指す組織です。
Q2.現在のスポーツ庁長官はだれ?
元ハンマー投げ選手・金メダリストの室伏広治氏です。(2025年9月30日任期満了)
Q3.スポーツ庁が創設された理由は?
スポーツ庁が創設された背景は主に以下の2つです。
- スポーツ基本法の制定
- 東京2020オリンピック、パラリンピックの開催
まとめ
今回はスポーツ庁について詳しくご紹介しました。
創設背景や組織図、具体的な政策についてもおわかりいただけたのではないでしょうか。
2021年に延期された東京オリンピック・パラリンピックの存在もあり、スポーツ庁が持つ役割はかなり重要と言えます。
本記事が少しでもあなたのお役に立てば幸いです。
官僚について詳しく知りたい方は以下の記事もご覧ください。