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裁判官になるには?裁判や司法試験の概要・目指す上での注意点

投稿日2023.1.21
最終更新日2023.01.23

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裁判官になるには、司法試験と司法修習のいずれにおいても優秀な成績で合格・終了しなければなりません。

日本最難関とも言われる司法試験の合格者の中でも、裁判官になれるのはほんの一握りなのです。
具体的に、どうやって目指せばいいのでしょうか。

今回は、職業の選択肢の一つとして「裁判官」を考えるあなたに向けて、以下のとおり詳しく解説します。

  • 裁判官、裁判の概要
  • 裁判官になるためのルート・ステップ
  • 裁判官を目指す上での注意点

あわせて、司法試験の登竜門となる「法科大学院」の課題についても紹介します。
本記事がお役に立てば幸いです。

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1、そもそも裁判官とは?


裁判官は、全国各地に設置されている

  • 地方裁判所
  • 高等裁判所
  • 最高裁判所

などで行われる裁判において、公平な判断を行う仕事です。

具体的には、検察官と弁護人の両者の主張を聴いて、事実を認定し、判例などを参考にしながら法律を解釈して適用し、公正な判決を下します。

実際に判決を下す際は、憲法と法律に拘束される以外は裁判官自らの良心に従い、独立した立場で、それぞれの事件について判断を行います(憲法第76条第3項)。

なお、裁判官が担当する裁判にはいくつか種類があり、それぞれ仕事の内容が異なります。

例えば民事訴訟では、原告・被告の両者による主張や証拠に基づいて、法律上の判断を行い、原告の請求を認めてよいか判断します。

少額訴訟などの簡易な裁判の場合は、一般的な法廷のイメージとは進め方が少し異なり、裁判官も一緒にテーブルを囲むかたちで進行するときもあります。

刑事事件では、検察官・弁護人の両者から出される証拠に基づいて、被告が有罪か無罪かを判断します。

有罪の場合は、どの程度の刑罰がふさわしいかの判断も行った上で判決を下します。
裁判の流れについてより詳しく知りたい方は以下の関連記事をご参照下さい。

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2、裁判官になるには?

それでは裁判官になるためには、どのようなステップを踏む必要があるのでしょうか。
以下で詳しく解説します。

(1)司法試験を受けるための資格を得る

裁判官になるためには、弁護士や検事と同じように、司法試験に合格しなくてはなりません。
また、司法試験には受験資格が設けられています。

  • 法科大学院に合格し、大学院で2年(法学既修者)ないし3年(未修者)の勉強を経て修了すること
  • 予備試験に合格すること

上記の条件の内いずれかを満たす必要があります。
裏を返せば、予備試験に合格すれば、たとえ学生であっても司法試験を受けることができるのです。

なお、以上の受験資格には有効期限があり、

  • 法科大学院修了の日の後、最初に迎える4月1日から5年間
  • 予備試験合格発表の日の後、最初に迎える4月1日から5年間

と定められています。

司法試験には何度でもチャレンジすることができますが、受験資格が有効期限を過ぎてしまった場合は、あらためて受験資格を得るところから再スタートしなければなりません。

(2)司法試験を受験・合格

司法試験の受験資格を得られて初めて、司法試験を受験することができます。
そして司法試験に合格して初めて、裁判官になるための第一歩を踏み出したと言えるのです。

(3)司法修習

司法試験合格後は、1年間の研修(司法修習)を受けます。

これは、

  • 裁判官
  • 検察官
  • 弁護士

のいずれの道を希望する人も、同一課程の研修です(統一修習)。
具体的には、司法研修所における「2か月の集合修習」と「10か月間の実務修習」に分かれて行われます。

実務修習の研修先は裁判所が決定するため、修習生は全国47都道府県のどこで研修をすることになるのかわかりません。

気になる生活費については、2017年に裁判所法が改正され、司法修習生に支給されていた給費が再び支払われることになりました。

とはいえ以前に比べて支給額が低く、今後さらなる法改正があるかもしれません。

なお、研修という位置付けではありますが、司法修習の終了前に行われる習熟度を確認するための試験(通称「二回試験」)に合格しないと、修習を終えることはできません。

裁判官を目指すなら、司法試験の成績はもちろん、二回試験も上位で突破しなければなりません。
優秀な成績を若くして収めた人に、積極的に声がかかる傾向にあると言われているからです。

また教官からの推薦状などがあると、より良いとされています。
司法試験受験前だけでなく、常に自己研鑚する姿勢が求められるでしょう。

2018年(第71期)は、司法修習修了者1,517名の内訳は、

  • 弁護士:1,032名
  • 裁判官:82名
  • 検察官:69名
  • その他:334名

となっています。

弁護士に比べて「狭き門」であることが、おわかりいただけるのではないでしょうか。

また、検察官に関しては以下の関連記事でより詳しく解説しています。

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(4)裁判官へ

裁判官の職に就く(任官)と、まずは「未特例判事補」という見習いの身分になります。
この段階では一人で裁判することは許されず、裁判長を務めることもできません。

4年の経験を積んで初めて「特例判事補」という身分になり、裁判をすることができるようになります。
10年目に「判事」という身分になります。

前段階の「特例判事補」であっても、一定の条件下のもとで裁判長を努めることができるなど、ある程度は判事と変わらない業務を行うことができますが、一人前の裁判官と言われるのは「判事」になってからです。

その後、個人の資質によって、

  • 高等裁判所長官
  • 最高裁判所判事
  • 最高裁判所長官

など責任の重い役職になっていきます。

(5)稀に弁護士や民間からの任官がある

裁判官には定年があるため、定年後に弁護士に転向する人も少なくありません。
一方で、稀に弁護士からの任官となる場合もあります。

弁護士からの任官の場合は、

  • 非常勤裁判官(通称)
  • 常勤裁判官

という2つの道筋があります。

①非常勤裁判官|民事調停官について

「非常勤裁判官」は通称で、正式には民事調停官、家事調停官と言います。

具体的には、弁護士が弁護士としての身分をもったまま、毎週1回、民事調停や家事調停で裁判官と同じ権限でもって手続きを執り行う、というものです。

応募の基準は

  • 弁護士経験が5年以上あること
  • 応募時に55歳未満であること(望ましい)

の2つです。

②常勤裁判官について

さらに、「非常勤裁判官」から「常勤裁判官」へ任官されるケースもごく稀にあります。
応募の基準は以下の通りです。

  • 弁護士経験10年以上の判事任官、または弁護士経験3年以上の判事補任官があること
  • 懲戒処分を受けたことがないこと
  • 応募時に55歳未満であること(望ましい)

なお、弁護士だけではなく、民間の学識経験者や検察官から任官されるケースもありますが、極めて稀です。

3、裁判官を目指す上での注意点


裁判官の判断は、被告や原告はもちろん、関わる全ての人の人生を左右すると言えます。
プレッシャーのかかる仕事であることは、想像に難くありません。

また、数値的に見る裁判官の人数と、実際に現場で判決を下す裁判官の人数との乖離もあり、慢性的な人員不足が指摘されています。

ただでさえプレッシャーがかかる仕事であるのにも関わらず、キャパシティも逼迫しているのです。

このような現状から、裁判官は優秀であるだけではなく、公正な判断のため、心と身体を強く保ち続けなければならないと言えるでしょう。

裁判の公正を保つために、独立した身分が保障されているとはいえ(憲法第78条、裁判所法第48条など)、それ以上に乗り越えなければならない大きな壁があるのです。

4、法科大学院の課題

裁判官の人員不足の問題をご紹介しましたが、そもそもの司法試験の登竜門となる法科大学院の志願者が年々減少しています。

中には、定員割れを起こしている大学院もあります。
課題の1つは、司法試験の合格率の低さです。

大学と大学院を合わせて6年間の学習期間を経ても、例えば2018年の合格率は29.1%です。

学習を続けるためには、費用がかかります。
かかる費用と合格率を天秤にかけて、尻込みしてしまう志願者がいてもおかしくはないかもしれません。

裁判官に関するQ&A

Q1.司法試験の受験資格は?

以下の条件の内いずれかを満たす必要があります。

  • 法科大学院に合格し、大学院で2年(法学既修者)ないし3年(未修者)の勉強を経て修了すること
  • 予備試験に合格すること

Q2.司法試験の受験資格の有効期限は?

受験資格には以下のように有効期限があります。

  • 法科大学院修了の日の後、最初に迎える4月1日から5年間
  • 予備試験合格発表の日の後、最初に迎える4月1日から5年間

Q3.司法修習とは?
司法試験合格後に受ける1年間の研修を司法修習といいます。以下の道を希望する人の同一課程の研修です。

  • 裁判官
  • 検察官
  • 弁護士

まとめ

今回は「裁判官のなり方」を中心に、裁判官の実情や課題についてご紹介しました。

裁判官の役割、目指す上での注意点と合わせて、法科大学院の課題についてもおわかりいただけたのではないでしょうか。

人の一生を左右する仕事だからこそ、なるためのハードルも高く、苦労も多く、課題も確かにあります。

それでも、やりがいをもって日々取り組んでいる裁判官がいるのも事実です。
将来の職業の選択肢の一つに、裁判官を検討してみてはいかがでしょうか。

本記事が少しでもお役に立てば幸いです。

この記事の監修者
政治ドットコム 編集部
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