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リーマンショックとは?背景や流れ・各国への影響も含めて簡単解説

投稿日2021.6.26
最終更新日2021.06.28

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リーマンショックとは、リーマンブラザーズという大手投資銀行グループの経営が破綻したことをきっかけに拡大した、一連の世界的な金融危機を指します。

リーマンショックは株価の大暴落につながり、世界経済を大きく揺るがしました。
今回の記事では、

  • リーマンショックの概要
  • リーマンショックの流れ
  • リーマンショックの影響
  • その他の世界的な金融危機

についてわかりやすく解説したいと思います。
本記事がお役に立てば幸いです。

1、リーマンショックとは

リーマンショック
リーマンショックとは、2008年9月15日に、アメリカ第4位の投資銀行「リーマンブラザーズ」が倒産したことのをきっかけに、世界中に連鎖した金融・経済危機のことです。

リーマン・ブラザーズの倒産によって、世界中の投資家たちが相次いで資産を投げ売りしたことで、世界経済が大きく悪化したのです。

リーマンショックが起きた背景には

  • 政策金利の大幅な引き下げ
  • 政府による住宅取得支援政策

などによる、サブプライムローンの利用増加が挙げられます。

(1)政策金利の大幅な引き下げ

リーマンショックの数年前までは、ドットコムバブルと呼ばれるITバブルで、アメリカ経済は好景気でした。

しかし、連邦準備制度理事会(FRB)による金融引き締め政策によって、2000年からアメリカの景気は急激に減退したのです。

 その後、FRBは経済を立て直すために、大幅な金融緩和政策を発動しました。
2000年6月から12月にかけて、政策金利を6.5%から1.75%にまで、大幅に引き下げたのです。 

さらに消費刺激を狙った減税により、都市部住宅の価格は年々上昇。
住宅価格の上昇に伴い、低所得者向けの住宅ローンである「サブプライムローン」が拡大していきました。

(2)政府による住宅取得支援政策

アメリカ政府は、金融緩和政策と同時に

  • 自助住宅所有機会プログラム
  • アメリカン ドリーム ダウンペイメント(頭金) イニシアチブ
  • 住宅カウンセリング

など、低所得者層に対する、住宅取得の支援策を行っていました。

これらは、当時のジョージブッシュ大統領が掲げていた「全てのアメリカ人に自分の家を所有してもらいたい」という考え方に基づくものでした。

こうした政策によって、マイホームを所有する人が増え、サブプライムローンの利用が増加していったのです。

2、リーマンショックの流れ

リーマンショックは、主に以下3つの流れで発生しました。

  • 低所得者向けのサブプライムローンの貸付
  • サブプライムローンの証券化
  • 住宅バブルの崩壊

それぞれの流れについて、みていきましょう。

(1)低所得者向けのサブプライムローンの貸付

リーマンショックの発端は、住宅バブルに伴う「サブプライムローン」という仕組みが登場したことでした。

2004~2006年にかけて、住宅価格が上昇していたアメリカでは、高金利の住宅ローンが多く登場しました。

 サブプライムローンの特徴は

  • 低所得者でも借りられる
  • 審査が甘い
  • 一定期間後に金利が跳ね上がる
  • 家を返せば返済義務がなくなる

というものです。

当時は、担保の住宅を差し押さえれば、ローン返済は問題ないと考えられていました。
そのため、返済能力の低い人でも、簡単に審査が通る仕組みになっていたのです。

このサブプライムローンの登場により、マイホームを持つ人が急増しました。

(2)サブプライムローンの証券化の横行

住宅バブルが進行するなか、リーマンブラザーズをはじめとする投資銀行が、次なる手としてサブプライムローンの証券化に着目しました。

さまざまな会社の社債などとセットにすることで、リスクを抑えた金融商品を売り出したのです。
また投資銀行は、最大手の保険会社「AIG」と組むことで、「サブプライムローン」に関連した金融商品を販売しました。

これにより、格付け会社などが高い評価を与えて、信用度が増加。
世界中の投資家や金融機関が相次いで、サブプライムローン関連の金融商品を購入していったのです。

(3)住宅バブルの崩壊

アメリカの住宅バブルを抑えるため、2004年から実行されていたFRBによる利上げによって、徐々に住宅市場が停滞し始めました。

2006年後半になると、サブプライムローンにおける

  • 返済の延滞
  • 住宅の差し押さえ

が急増しました。

これに伴って、住宅ローン関連の金融商品価格も下落していったのです。
サブプライムローンの問題は深刻化し、2007年には

  • ニューセンチュリー・ファイナンシー
  • ベアー・スターンズ

などの大手金融会社で、次々と経営危機が表面化しました。

そして、損失を恐れた多くの投資家が、金融商品を投げ売りし、市場は大混乱。
ローン受けの筆頭として、多額の損失を抱えたリーマンブラザーズが経営破綻したのです。

この大混乱が実体経済にも大打撃を与えたことで、リーマンショックへのと繋がりました。

3、リーマンショックの影響

リーマンショック
リーマンショックは、アメリカ市場内だけの問題にとどまらず、世界各国へ大きく影響を及ぼしました。

ここでは

  • 日本
  • ヨーロッパ

での、影響について見ていきましょう。

(1)日本

サブプライムローンに関係していなかった日本の金融機関は、欧米に比べて影響は少ないと言われていました。

しかし

  • 外国為替市場における円高
  • アメリカ市場における日本製品の需要減少

などから、日本経済にも大きな影響を与えました。
ドルとユーロが下落したことで、円高が急速に進行しました。 

その結果、

  • 2008年の有効求人倍率:0.42倍
  • 2009年の完全失業率:5.5%

にまで上昇し、深刻な就職難となりました。

2008年末には、非正規雇用の契約を更新しない

  • 雇い止め
  • 派遣切り

も増加。

東京・日比谷公園に設けられた「年越し派遣村」に多くの人が集まったようです。

リーマンショック画像出典:雇用・失業等の動向|厚生労働省

また、急激な円高から輸出も鈍化。
鉱工業では、2008年11月から、輸出向けの出荷が急激に低下しました。

リーマンショック
画像出典:
経済産業省

参考:第1節世界的な金融危機と国内金融|内閣府

(2)ヨーロッパ

リーマンショックにより、ヨーロッパ各国の財政状況も悪化しました。
アメリカ市場で株価が大暴落した後、経済的な影響は

  • アイスランド
  • ハンガリー
  • ギリシャ

などの債務危機へと広がりました。

2009年にはギリシャ危機が発生。
その被害はギリシャ国債を持っていた

  • ポルトガル
  • スペイン
  • イタリア

などのEU諸国にも、金融危機が波及しました。
その結果、2011年に回復し始めたアメリカ経済と違い、ヨーロッパでは長期間の高い失業率が続きました。

リーマンショック画像出典:欧米主要国における失業率及び賃金の動向|内閣府

参考:欧米主要国における失業率及び賃金の動向|内閣府

4、その他の世界的な金融危機

世界を巻き込んだ金融危機は、リーマンショックだけではありません。

最後に

  • ウォール街大暴落
  • アジア通貨危機

についてご紹介します。

(1)ウォール街大暴落

ウォール街の大暴落とは、1929年10月24日から約1ヶ月間続いた、一連の株価の大暴落です。

大手金融機関が集中するアメリカ・ニューヨークのウォール街で発生したことから、この名がつきました。 

最初の大暴落が木曜日だったため、「ブラックサーズデー(暗黒の木曜日)」とも呼ばれるようです。

この株価大暴落は、当時アメリカ最大級企業であった「ゼネラルモーターズ」の株価における、80セントという大幅な値下がり、がきっかけです。

この値下がりにより、不安を感じた国民が、銀行から預金を一斉に引き出しました。
この一斉引き出しにより、多くの銀行が倒産したのです。

銀行に資産を預けていた企業や工場も軒並み倒産するなど、次々と影響が拡大していきました。

リーマンショック

画像出典:Macrotrends | The Long Term Perspective on Markets

暴落前のダウ平均株価は300ドル台後半であったにもかかわらず、翌月には200ドル台にまで下落しました。

また、当時の失業率は25%にも上り、4人に1人が失業しているという状態になります。
暴落から25年後の1954年11月23日に、暴落前の株価水準(300ドル台後半)に相場が回復しました。

(2)アジア通貨危機

アジア通貨危機とは、1997年7月に、タイを中心とした

  • インドネシア
  • 韓国
  • 香港

などのアジア各国で発生した、通貨下落現象です。

アメリカのヘッジファンドを中心とした、機関投資家による大規模な空売りにより、タイの通貨「タイバーツ」が暴落。

これをきっかけに、東南アジアや韓国に、経済的な悪影響が連鎖しました。

日本も、アジア通貨危機に加え、

  • 緊縮財政の導入
  • 消費税増税の導入
  • 世界的な株安

などにより、経済的な打撃を受けました。
日経平均は、2万円台から1万円台にまで下落したのです。

また、新興国における通貨不安は、

  • ロシア
  • ブラジル

の通貨危機と連鎖反応するように広がっていきました。

まとめ

今回は「リーマンショック」について解説しました。

海外株式を利用している方は、投資先の国における政策の把握も重要になってきます。

リーマンショックによる金融危機を理解することで、今後の経済の動向の把握に役立てていただければ幸いです。

この記事の監修者
政治ドットコム 編集部
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