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国家公務員とは?地方公務員と何が違う?人事院や試験についても解説

投稿日2021.2.20
最終更新日2021.02.20

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国家公務員とは、日本国憲法第73条で規定されている「官吏(かんり)」のことであり、国民に仕える公務員です。

今回は

  • 国家公務員と地方公務員の違い
  • 国家公務員の種類
  • 国家公務員試験

などについて解説します。
本記事がお役に立てば幸いです。

1、国家公務員とは?

国家公務員
国家公務員とは、憲法により定められた国民に仕える公務員のことです。
明治憲法下では天皇に仕える者を指していました。

(1)日本国憲法による公務員の規定

国家公務員については、「日本国憲法第15条」で以下のように記載されています。

<日本国憲法第15条>

第1項 公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。

第2項 すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない。

引用:日本国憲法

国民は公務員を選ぶことも、罷免すること(辞めさせること)もできるのです。
上記の「公務員」は、国家公務員と地方公務員の両方を指しています。

(2)地方公務員との違い

国家公務員と地方公務員の違いは「勤務先」です。
省庁など国の機関や組織に勤務する人が国家公務員で、都道府県や市区町村などの地方自治体に勤務する人が地方公務員です。

また、国家公務員と地方公務員は「仕事」にも違いがあります。
国家公務員は国全体に関わる業務に携わり、地方公務員は地方住民の公共サービスに関わる仕事に携わります。

参考:人事院

2、国家公務員の種類

ここでは国家公務員の種類について見ていきましょう。
国家公務員は、大きく

  • 「総合職」
  • 「一般職」
  • 「専門職」

の3つに区分されます。
また、特別職というものもあります。

(1)総合職

総合職は、政府や国会議員から指示を受け、行政に関わる業務をします。

政策の企画立案や法律作成のための資料収集や整理などが主な仕事です。

中央省庁で働く「キャリア」、「官僚」と呼ばれる人たちです。

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(2)一般職

一般職は、総合職が作成した政策を実際に執行する役職です。

中央官庁や出先機関で働き、主に事務処理等の定型的な業務に携わります。

(3)専門職

専門職は、専門性の高い法律関係の業務を行います。
基本的にエリア採用で、仕事内容によっては特定の資格が必要になるようです。

具体的には

  • 労働基準監督官
  • 国税専門官
  • 皇宮護衛官

などの専門職があります。

(4)特別職

また国家公務員には、国家公務員法が適用されない「特別職」があります。
特別職の国家公務員は

  • 首相
  • 国務大臣
  • 人事官
  • 検査官
  • 内閣法制局長官
  • 内閣官房副長官
  • 国会職員
  • 国会議員の秘書
  • 日本学術会議会員
  • 日本学士院会員
  • 日本ユネスコ国内委員会の委員
  • 自衛隊

などとなっています。

ただ首相や国務大臣に就任していない国会議員(衆議院議員と参議院議員)は、国家公務員法で「特別職である」と明記されていないため、特別職であるとの見解と、そうではないとの見解があります。

参考:参議院法制局・国会議員は公務員か

参考:国家公務員法

3、人事院について

国家公務員
人事院は、国家公務員が全体の奉仕者として職務を遂行できるようにするための、中立な第三者機関です。

人事院の主な仕事は次の3点です。

  1. 人事行政の公正が確保されるよう、採用試験、任免の基準設定、研修などを行う
  2. 内外の人事制度の調査研究を行い、時代のニーズに応える人事施策を展開する
  3. 労働基本権制約の代償措置として、給与などの勤務条件の改定などを国会と内閣に勧告する

参考:人事院

1と2は比較的理解しやすいと思うので、3の「労働基本権制約の代償措置」について詳しく解説します。

(1)労働基本権制約の代償措置について

労働基本権制約の代償措置とは、公務員における労働基本権に代わる措置のことです。
人事院が公務員に代わって、国会や内閣に対し給与や勤務条件について改定を要求します。

民間企業などに務める一般的な労働者は

  1. 団結権
  2. 団体交渉権
  3. 争議権

の3つの労働基本権が憲法で認められています。

しかし原則国家公務員は団結権はありますが、団体交渉権は弱められ、争議権は否定されています。

なぜなら、労働基本権を公務員に認めてしまうと、国民の仕事や生活に大きな影響が出てしまうからです。

そこで人事院を設置することにより国民の生活に影響が出ないように、公務員においても労働基本権に変わる措置(労働基本権制約の代償措置)を行えるようにしたのです。

参考:人事院

参考:総務省 公務員の労働基本権

(2)人事院の構成

人事院のホームページには

「人事院は、人事官3人をもって組織される」

と記載されています。

その3人の人事官とは、総裁1人、人事官2人です。
もちろん、この3人だけで、すべての国家公務員の人事行政を仕切ることはできません。

人事院には

  • 5つの課
  • 4つの局
  • 1つの公務員研修所
  • 8つの地方事務局
  • 1つの沖縄事務所

の計19の部署で構成されます。

ではなぜ「人事院は、人事官3人をもって組織される」と記載しているのでしょうか。
それは、「第三者機関としての人事院」と「事務部門としての人事院」にわかれているからです。

第三者機関としての人事院は3人の人事官で構成され、それ以外の人事院職員は事務部門に属します。

3人の人事官は、衆議院と参議院の同意を得て内閣が任命し、天皇が認証します。
総裁は3人の人事官の中から、内閣が選びます。

参考:人事院

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4、国家公務員試験について

国家公務員にはさまざまな種類があり、その種類によって試験も異なります。
具体的には、総合職試験・一般職試験・専門職試験・経験者採用試験があります。

  • 総合職試験:院卒者試験、大卒程度試験
  • 一般職試験:大卒程度試験、高卒程度試験(社会人区分を含む)
  • 専門職試験:①大卒程度:皇宮護衛官採用試験(大卒程度試験)等8種類
    ②高卒程度:刑務官採用試験、税務職員採用試験等8種類
  • 経験者採用試験(採用予定がある府省ごとに職制段階等別に実施)

「院卒者試験、大卒程度試験」では、例えば次のような問題が出されます。

民主主義は、政治学にとって永遠の研究課題である。以前は、全体主義体制や権威主義体制等の非民主主義体制をいかに「民主化」するかについて研究の焦点が当てられていた。しかし、一旦、民主化した国が、その後、再び非民主主義的な体制に戻ることがあるように、「非民主主義体制から民主主義体制へ」という一方向的な傾向が保証されているわけではない。

(中略)

上記の問題に対して、一方では、直接民主制を理想とし、有権者の民意をできるだけ反映させるために、国民投票や住民投票を積極的に活用するととともに、選出された政治家は有権者の代理として行動すべきと主張する等の参加民主主義の考えがある。他方では、有権者は情緒的な選択をすることがあるので、選挙で政治家を選出した後は政治家に任せる方が良いとし、政治家は有権者の民意から離れても代表として正しい判断をすべきと主張する等のエリート民主主義の考えがある。この両者の考えについて、各々の概要及び長所と短所を述べなさい。

引用:政治学

基本的に、国家公務員になるには上記の試験に合格することが必要になりますが、採用試験になじまない専門的な官職などについては、選考による採用を行うことがあります。

参考:人事院

まとめ

国家公務員になるのは簡単ではないかもしれませんが、国に関わる非常に大事な仕事です。

国民が安心して生活を送れるように、日々国家公務員が国をサポートしているのです。

この記事の監修者
政治ドットコム 編集部
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