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消費税はどうやって計算する?個人事業主必見の税金の基礎知識

投稿日2020.4.6
最終更新日2023.05.02

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消費税とはモノやサービスを購入したときに、対価とともに払わなければならない税のことです。

個人事業主も例外ではありませんが、納付義務がある条件は、基準期間での課税売上高が1,000万円を超えた場合です。

今回は、そんな個人事業主が払う必要のある消費税について以下をわかりやすく解説します。

  • 消費税の概要
  • 納税義務が生じる条件
  • 消費税の計算方法
  • 簡易課税制度の適用

フリーランスの方は特に必見の内容になっていますので、是非最後までご覧ください。

また、令和5年10月1日から「インボイス制度」が開始します。

個人事業主の消費税に大きくかかわる精度になっていますので、是非チェックしてください。

1、消費税とは

消費税
消費税とは、日本国内のモノやサービスを「消費」したときに公平にかかる税金のことです。
具体的にはモノやサービスなどを消費する側(お客さん)から払われた消費税に関して、日本国内で取引をしている事業者は消費者に代わり国・地方に消費税を納めています。

たとえば、個人事業主が10,000円分の仕事をすれば消費税10%がかかり11,000円が事業主に支払われます。
これは仕事をした対価に合わせて消費税がプラスされている状態であり、1,000円分は頑張ったからと特別にボーナスがもらえたわけではありません。

一時的に預かった税金なので後でまとめて国・地方に納める分なのです。
消費税は、買い物など消費する側にとっては会計時に支払うだけの税金ですが、個人事業主になると払われた税金を預かる身です。

申告漏れがないよう、消費税を預かった場合は一体いくらだったのか金額や総額についてしっかり把握する必要があります。
まずは課税の仕組みについてご紹介します。

(1)個人事業者が知るべき消費税の考え方

まずは、消費税がかかる流れについてあらためて見ていきましょう。
たとえば、卸売業者Aが385,000円(消費税10%を含む)の商品で小売店B(販売店)に商品を販売します。
そのときにかかる35,000円(385,000÷1.1×10%)の消費税を卸売業者Aは国に納めることになります。

次に、小売店Bは385,000円で購入した商品を、店で消費税10%を課した792,000円で消費者Cに売るとしましょう。

商品には72,000円(792,000÷1.1×10%)の消費税が含まれています。
消費者Cが購入すれば、Cが負担した消費税のうち、小売店Bは卸売業者Aに渡した消費税35,000円を差し引いた37,000円を、卸売業者Aは35,000円をそれぞれ納税します。

表で整理すると以下の様になります。

卸売業者A 小売店B(販売店) 消費者C
35,000円を国・地方に納税 37,000円を国・地方に納税 72,000円分の消費税をBに払った

このような流れで日本では取引があるたびに課税され、事業者がそれぞれ分担して最終的な消費税額を納めるのです。
簡単に言えば「消費税で儲かった分の金額を納税する」のです。

(2)消費税がかかる取引とかからない取引

それでは、日本ではすべての取引に消費税が課されているのでしょうか。
実はそうではなく、消費税がかかる取引とそうでない取引があります。

これは、すべてに税をかけてしまうと消費税本来の目的である「消費に負担をもとめる税」という観点になじまない恐れがあるからです。

日本では売上に関する取引は、すべて以下の4つに分類されています。

  • 課税取引
  • 非課税取引
  • 不課税取引
  • 免税取引

このうち、消費税は上記の「課税取引」とよばれるものをもとに計算します。
これら4つの取引について見ていきましょう。

①課税取引

  • 日本国内でおこなうもの
  • 事業者が事業としておこなうもの
  • 対価を得ておこなうもの
  • 資産の譲渡や貸付、サービスの提供であること

課税取引とはこれら4つの要件を満たす行為が該当します。
国外の取引には別の国の税がかかるため、日本でも消費税をかけてしまうと二重課税になることもあります。

そのため、税を課す対象は国内での取引と限定されています。
また、事業者がおこなう取引が対象のため、たとえばサラリーマンや主婦がネットオークションなどで小規模におこなった取引は対象外です。

②非課税取引

社会的政策配慮や取引の性格上、課税しない方が良いものなどを指し、消費税法によって13種類の取引が限定的に列挙されています。

  • 土地の譲渡・貸付
  • 有価証券(国債、社債、株式、手形、小切手)などの譲渡
  • 郵便切手、商品券、プリペイドカードの譲渡
  • 貸付金や資産の利子
  • 高齢者や障害者などの健康保険適用の医療費や療養費
  • 国や地方公共団体から委託・指定を受けた事業者によるサービスや手数料
  • 介護保険法に規定ある介護サービス
  • 助産などの費用
  • 墓地などに関する法律に規定する埋葬費用
  • 義足など一定の身体障害者が使う物品の譲渡・貸付
  • 学校教育法に規定ある授業料や入学金
  • 教科用図書の譲渡・取引
  • 住宅の貸付

しかし上記の取引内容でも目的によっては課税の対象となるケースもあります。
たとえば、駐車場など施設利用に対して土地が使われる場合などがそれにあたります。

判断が難しいものはあやふやなままにしておかず、国税庁にある「税に関する相談窓口」などを利用して解決するようにしましょう。

③不課税取引

海外で商品を購入した場合、寄付や贈与など国外での買い物やサービスを無償で提供する場合などが当てはまります。

④輸出免税取引

国外への輸出取引のように、実際に消費する場所が海外である場合が当てはまります。
また、外国に住む外国人が自国で使うために日本の輸出物品販売所で購入した場合なども該当します。

2、申告義務

申告
消費税は立派な税金の1つですが、すべての個人事業主が毎年消費税に関して納税をしなければならない、というものではありません。
ここからは、納税がもとめられる個人事業主の条件について自分が当てはまるかどうか確認しましょう。

(1)申告義務のある個人事業主条件

当年度の確定申告(1年間の所得を計算して納税額を確定する)に対して基準期間の売上高が税込み1,000万円を超える場合、消費税の申告がもとめられる「課税事業者」となります。

基準期間とは、納税額を判定する年の前々年を指します。
つまり当年度が2019年の場合、2017年の売上高が1,000万円を超えていれば2019年からは税務署への納税がもとめられるのです。

そのため、原則起業して最初の2年間は消費税納付の義務がありません。
このような事業者を「免税事業者」といいます。

また、開業後2年が経過しても前々年の売上高が税込みで1,000万円を超えていなければ、免税条件クリアとして消費税の納税をする必要はありません。

(2)売上1,000万円以下でも納税義務が生じる場合

ただ、基準期間で売上高が税込みで1,000万円以下であっても「課税事業者」となる例外があります。
それは、基準期間とは別の「特定期間」による判定です。

特定期間とは、前年の1月1日~6月30日の期間を指し、この期間の売上高が税込みで1,000万円を超えている場合は免除されないのです。

たとえば、開業2年目の1月~6月の上半期の売上高が1,000万円を超えているならば、3年目からは納税がもとめられます。

また、売上高の代わりとして支払った給与が1,000万円を超えているか、という点も判定材料になるので注意しておきましょう。

3、消費税の計算方法

計算

消費税額の計算方法には「原則課税方式」と「簡易課税方式」の2種類が存在し、基本的には原則課税方式が採用されます。
しかし

  • 前々年の売上高が税込で5,000万円以下
  • 簡易課税制度の適用を受けるための届出書を事前に提出

これらの条件をクリアしていれば、簡易課税方式を選択することができます。
それぞれの計算方法を確認していきましょう

(1)原則課税方式

売り上げにかかった消費税から、仕入れなどで出費した消費税をきっちり差し引いて算出した金額を納税するという方式です。

計算式は

【納付すべき消費税額=預かった消費税-払った消費税】となります。

すべての取引の消費税を集計するので、とても大変な作業です。

(2)簡易課税方式

事業規模を考慮に入れたシンプルな計算法で、条件をクリアした個人事業主にのみ適用されます。
届出書は国税庁のホームページからダウンロードすることができ、提出期限は課税期間の開始前日までです。

ただし、簡易課税方式を選択した場合、原則として2年間は継続して簡易課税方式による納税額の算出をしなければなりません。

コロコロと簡単には変更できないので注意してくださいね。
預かった消費税分を「みなし仕入率」でざっくりと計算して簡単に消費税額を算出します。
計算式は

【納付すべき消費税額=預かった消費税-(預かった消費税×みなし仕入率)】となります。

払った消費税は考えなくて構わないため、事務的負担が大幅に減少する点がメリットです。
みなし仕入率は事業ごとに、以下のように法律で定められています。

みなし仕入率 業種
第一種事業 90% 卸売業
第二種事業 80% 小売業
第三種事業 70% 農業・林業・漁業・建設業・製造業など
第四種事業 60% 飲食サービス業など
第五種事業 50% 運輸通信業・金融業・保険業など
第六種事業 40% 不動産業

この計算式はおおまかなものです。
実際には軽減税率対象商品や端数調整の影響などによって多少の誤差が生じます。

たとえば、小売業で売上高が税込みで2,000万円であると考えてみましょう。
預かった消費税(2,000万円×10%)−  預かった消費税×みなし仕入率(2,000万円かける10%×80%)=40万円

つまり、納付すべき消費税は40万円であることが簡単に計算できます。

まとめ

消費税は、税金を「負担する」人と「納付する」人が異なります。
個人事業主は消費税をおまけ感覚に捉えず、あくまでも一時的に管理しているという自覚を持つことが大切です。
納税申告日ギリギリになって焦らないよう、事前にシミュレーションして積み立てておきましょう。

この記事の監修者
政治ドットコム 編集部
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