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宗教法人法とは?概要や解散命令、法案改正について簡単に解説

投稿日2023.10.30
最終更新日2023.10.30

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宗教法人法とは、信教の自由を尊重し、宗教団体に法人格を与えることを目的とした日本の法律です。

この法律は、文化庁が所管しており、1951年に初版が発行されました。主な内容は宗教法人の設立や監督に関する規定です。関連法令には民法や法人税法が含まれています。

宗教法人法は、日本国内の宗教団体が法的に認識され、法人格を持つために必要な基本的な法律です。これにより、宗教団体は資産管理や法的な責任を負うことができ、信者や社会との関係を適切に調整することができます。

本記事では、以下の4点について分かりやすく解説します。

  • 宗教法人設立の背景
  • 宗教法人法について
  • 宗教法人法の行使事例
  • 宗教法法人法の一部改正について

1.宗教法人法とは?

宗教法人法とは

宗教法人法は、信教の自由を尊重し、宗教団体に法人格を与えることを目的とした日本の法律です。

文化庁の「宗教統計調査」によると、日本には約18万の宗教法人が存在しています(2022年度調査より)。宗教法人と一言で言っても地域の神社や寺院、教会から全国規模の組織となっている教派、宗派、教団と大小様々です。

宗教法人法は全部で十章に分けられており、それぞれの章で細かく規則として定められています。

参考:文化庁ウェブサイト「宗教法人運営のガイドブック」(最終閲覧日:2023年9月21日)

(1)宗教法人法設立の背景

宗教法人法は、宗教団体が社会的・法的な位置を持つことを可能にし、宗教活動の透明性、信頼性、安定性を向上させるために生まれました。

宗教法人法は、宗教活動を正式に認識し、宗教団体が法的な権利と義務を持つことを認めるものです。そのため、寄付や土地の取得、宗教施設の建設・運営などの宗教活動がスムーズに行われるようになります。

参考:文化庁ウェブサイト「文化庁 宗教法人の設立手続き」(最終閲覧日:2023年9月21日)

2.宗教法人法 各章の解説

宗教法人法とは

ここでは、宗教法人法の第一章から第十章までを詳しく解説します。

(1)宗教法人法|第一章 総則

宗教法人法の総則は、宗教法人としての資格、活動、運営等に関する基本的な規定や定義を定めています。

その他には以下の3点について定められています。

  • 宗教法人の所轄庁について
  • 公益事業について
  • 届け出や責任、能力について

(2)宗教法人法|第二章 設立

宗教法人法の設立については、宗教法人を立ち上げる際の手続きについて定めています。設立に必要な項目を記載した規則を作成し、所轄庁の認証を受ける必要があります。

設立に必要な事項は、以下の通りです。

宗教法人の設立の手続きに記載すべき事項
1 目的
2 名称
3 事務所の所在地
4 設立する宗教法人を包括する宗教団体がある場合はその名称及び宗教法人非宗教法人の別
5 代表役員、責任役員、代務者、仮代表役員及び仮責任役員の呼称、資格、任免の記載
代表役員についてはその人気や職務権限
代務者については職務権限に関する事項
6 前号に掲げるのの外、議決、諮問、監査その他の期間がある場合には、その機関に関する事項
7 第六条の規定による事業を行う場合には、その種類及び管理運営に関する事項
8 基本財産、宝物その他の財産の設定、管理及び処分、予算、決算、会計その他の財務に関する事項
9 規則の変更に関する事項
10 解散の事由、清算人の選任及び残余財産の帰属に関する事項を定めた場合には、その事項
11 公告の方法
12 第五号から前号までに掲げる事項について、他の宗教団体を制約、または他の宗教団体によって制約されれる事項があれば、その事項
13 前各号に掲げる事項に関連する事項を定めた場合には、その事項

参考:e-GOVウェブサイト「e-GOV法令検索「宗教法人法」」(最終閲覧日:2023年9月21日)

その他には、公告についてや規則の認証の申請について、認証できない場合の所轄庁の対応についてなどがまとめられています。また、宗教法人の設立は、登記をもって成立するといった宗教法人の成立時期なども明記されています。

(3)宗教法人法|第三章 管理

宗教法人法の管理については、宗教法人を運営する上での管理についてまとめられています。

宗教法人には責任役員が3人以上必要ということ、またその内の1人を代表役員とする内容が明記されています。

代表役員と責任役員のそれぞれの役割や、宗教法人の規定がある場合はその規定に則っているか、適切な運営をしているかなどの必要事項が明記されています。

また、宗教法人の役員として認められない条件についても明記されています。

宗教法人には毎年年度末に財産目録や収支計算書を作成する義務があり、必要な事項をまとめた帳簿の作成義務があります。

(4)宗教法人法|第四章 規則の変更

宗教法人が規則を変更する場合には、変更についてを所轄庁の認証を受ける必要があります。

宗教法人は、被包括関係の関係にある宗教団体との関係の設定、または廃止を行う際には2か月前までに変更の案の要旨を公告、通知をする義務があります。

宗教法人が、自身が属する宗教団体との被包括関係を解消しようとする際、その手続きに関連する規則の変更が必要です。この場合、宗教法人の規則に、宗教団体が一定の権限を有する旨の定めがあっても、その権限に関する規則の規定による手続きは不要とされています。

その他は、規則の変更を認証するための申請方法などについて明記されています。

(5)宗教法人法|第五章 合併

2つ以上の宗教法人は、合併して1つの宗教法人になることが可能です。

第5章では、2つ以上の宗教法人が合併する際の手続きや公告について、意義を申し述べられた際の対応について明記されています。

合併するにあたっての認証の申請や所轄庁の認証に関する決定、合併にあたって解散する宗教法人の権利義務の継承について明記されています。

(6)宗教法人法|第六章 解散

宗教法人法によると、宗教法人の解散は任意です。

解散するにあたって、宗教法人法に記載されている事由によって解散することができます。

宗教法人の解散事由
1 規則で定める解散事由の発生
2 合併(合併後存続する宗教法人における当該合併を除く)
3 破産手続開始の決定
4 第80条第1項の規定による所轄庁の認証の取り消し
5 第81条第1項の規定による裁判所の解散命令
6 宗教団体の包括する宗教法人にあっては、その包括する宗教団体の死亡

参考:e-GOVウェブサイト「e-GOV法令検索「宗教法人法」」(最終閲覧日:2023年9月21日)

任意解散の認証や解散の時期、破産する場合は破産手続きの開始についてや、清算中の宗教法人の能力などについても細かく明記されています。

(7)宗教法人法|第七章 登記

宗教法人の登記は、規則の認証書の交付を受けた日から2週間以内に主たる事務所の所在地におかなければならない決まりがあります。

設立の登記においては、決められた事項を登記しなくてはなりません。

登記の変更が生じた場合は2週間以内に登記の変更を行い、事務所を移転した場合は新しい所在地に事項の登記をする必要があります。

この他にも、宗教法人の登記に関わるさまざまな項目が明記されています。

(8)宗教法人法|第八章 宗教法人審議会

宗教法人審議会は、文部科学省に設置されている審議会です。

宗教法人審議会は、10人以上20人以内の委員で組織し、委員は宗教家及び宗教に関して学識経験がある者の中から文部科学大臣が任命すると決められています。

この他には、委員の任期や宗教法人審議会の議事の手続き、その他の運営に必要な事項や規定の削除等は、文部科学大臣の承認を受けて宗教法人が定める必要があります。

(9)宗教法人法|第九章 補足

宗教法人法、第9章の補足は、宗教法人の被包括関係の廃止を防ぐことを目的として、通知後2年間は当該宗教法人の代表役員、責任役員その他の役員、又は規則で定めるその他の機関の地位にある者を解任し、権限の制限を加えたり不利益な取り扱いをしてはならないと明記されています。

この他にも、細かな補足を明記しています。

(10)宗教法人法|第十章 罰則

罰則は、定められた項目に該当した際の罰則を明記しています。

参考:e-GOVウェブサイト「e-GOV法令検索「宗教法人法」」(最終閲覧日:2023年9月21日)

3.宗教法人法の行使事例

宗教法人法とは

ここでは、宗教法人法の行使事例について解説を行います。

(1)宗教法人法の「解散命令」行使事例

過去に宗教法人法による宗教法人の解散事例は、以下の2つが代表的なものです。

  • 1995年オウム真理教
  • 2002年明覚寺

①1995年 オウム真理教

1989年に設立されたオウム真理教は、オウム真理教が所有する施設内で無差別殺人を目的するサリンの作成が宗教法人法の81条1項1豪の解散事由に該当するとして、当時の東京都知事が東京地方裁判所に対して解散命令の請求を行いました。

オウム真理教は宗教法人命令に対する抗告棄却決定に対し特別抗告まで行いました。しかし、結果として抗告は棄却となりました。

理由は、宗教団体の目的を逸脱した行為が明らかであり、法人格を失わせることが適切と判断されたためです。

参考:警視庁ウェブサイト「警察庁 活発化する動き」(最終閲覧日:2023年9月21日)

②2002年 明覚寺

1987年に設立された明覚寺は、僧侶に霊能力があると装い、相談に訪れた人々に対して金銭をだまし取り詐欺罪に問われました。文化庁により1999年に和歌山地裁に対して解散命令の請求を行いました。その結果、宗教法人法に違反し、著しく公共の福祉を害する行為をしたという理由で、2002年に明覚寺は解散を命じられました。

同年に、明覚寺は大阪高裁に対して即時抗告を行いましたが、大阪高裁は即時抗告の棄却を決定しています。

理由は、僧侶には霊能がなかったことは明らかであり、抗告人の主張は採用できないとされたためです。

参考:
NHKウェブサイト「NHK「オウム真理教」など過去2件の解散命令請求 記録すべて廃棄」(最終閲覧日:2023年9月21日)
文部科学省ウェブサイト「文部科学省 第144回宗教法人審議会」(最終閲覧日:2023年9月21日)

(2)宗教法人法の「質問権」行使事例

宗教法人法の「質問権」とは、宗教法人に法令違反が疑われる場合に、文部科学省や都道府県職員が運営についての報告を請求したり、質問したりできる制度です。

質問権は1996年に追加されましたが、2023年の旧統一教会に質問権を行使するまで、前例はありませんでした。

①2023年 旧統一教会

旧統一教会は、2022年11月から文部科学省が質問権を7回行使しています。理由は、組織の運営や高額献金についての報告を求めるためです。

現在までに、下記の情報の提出を求めました。

  • 組織運営に関する文書
  • 財産に関する書類や帳簿
  • 献金について
  • 教会の管理
  • 旧統一教会が関わる裁判に関する97の項目

参考:
NHKウェブサイト「NHK 旧統一教会「過料」通知を受け教団側が会見 争う姿勢示す」(最終閲覧日:2023年9月21日)
NHKウェブサイト「NHK 旧統一教会に対する「質問権」を初行使」(最終閲覧日:2023年9月21日)
NHKウェブサイト「NHK 旧統一教会へ7度目の「質問権」行使へ 9項目の回答求める」(最終閲覧日:2023年9月21日)

4.宗教法人法の法案改正について

宗教法人法とは

ここでは、2019年9月14日に一部改正された宗教法人法の内容と、2023年6月15日に日本維新の会より提出された宗教法人法の一部を改正する法律案の概要について解説を行います。

(1)2019年9月14日に宗教法人法の一部改正施行

2019年9月14日に宗教法人法が一部改正されました。

成年後見制度における人権保護と差別防止を目的に、心身の障害の状態を個別に審査し、能力の有無を判断する規定を各制度に導入することで、成年後見を受けている人々が資格や職種から一律に排除されないようになりました。

成年後見制度とは、心身の障害や病気、高齢などにより、判断能力が十分でない成年者の法的保護を目的としている制度です。成年後見制度では、本人が自立した生活を送ることが難しい場合に、家族や法定後見人などによって、本人の利益を代理で管理・保護することができます。

2019年の宗教法人法の一部改正では、宗教法人法の役員に関する規定が改められ、成年後見を受けている人々が職務を適切に行う能力があるかどうかを重視するように変更されました。

参考:
文化庁ウェブサイト「成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律の施行に伴う事務の取扱いについて(通知)」(最終閲覧日:2023年9月21日)
京都府ウェブサイト「京都府 宗教法人法の改正に伴う事務の取扱いについて」(最終閲覧日:2023年9月21日)
厚生労働省ウェブサイト「成年後見まるわかり」(最終閲覧日:2023年9月21日)

(2)2023年6月15日に宗教法人法の一部改正法案提出

2023年6月15日に、日本維新の会が「宗教法人法の一部を改正する法律案」を衆議院事務総長に提出しました。

主な改正法案は以下の通りです。

宗教法人法とは

参考:日本維新の会ウェブサイト「日本維新の会 宗教法人法の一部を改正する法律案概要.pdf」(最終閲覧日:2023年9月21日)

要点をまとめると、宗教法人改正法案は以下の通りです。

  • 報告・質問要件の拡充
  • 質問の際の同意要件の撤廃
  • 勧告・命令等の新設
  • 財産の保全処分の新設

参考:日本維新の会ウェブサイト「日本維新の会 3法案ポンチ絵」(最終閲覧日:2023年9月21日)

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(2)身を切る改革をすすめ、国会改革を実現する政策の政策目標

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身を切る改革をすすめ、国会改革を実現する

まとめ

本記事では、宗教法人法について詳しい解説を行いました。

宗教法人法は、日本における宗教団体の法的な枠組みを定めた法律であり、この法律により、宗教団体は宗教の教義を広め、儀式を執り行い、信者を教化育成することを主な目的とします。

宗教団体が合法的に活動し、信者たちが安心して信仰を続けられるようにするために重要な役割を果たしています。

この記事の監修者
政治ドットコム 編集部
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