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平和安全法制とは?平和と安全を確保する制度の体制について解説

投稿日2022.11.18
最終更新日2024.06.17

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平和安全法制とは、安全保障に関する「平和安全法制整備法」と「 国際平和支援法」の総称です。

世界各地で紛争などが発生する中、政府は日本の平和と安全を確かなものにするため、新しい平和安全法制を成立させました。

今回の記事では

  • 平和安全法制の概要
  • 平和安全法制が成立した背景
  • 平和安全法制で知っておきたい4つのポイント
  • 平和安全法制における武力行使の「新三要件」

についてわかりやすく解説します。
本記事がお役に立てば幸いです。

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1、平和安全法制とは

平和安全法制

平和安全法制とは、「平和安全法制整備法」と「 国際平和支援法」の総称です。

平和安全法制関連2法とも呼ばれます。
平和安全法制整備法とは、以下の法律を一括改正する法案のことです。

  • 自衛隊法
  • 重要影響事態法
  • 船舶検査活動方
  • 国連平和維持活動(PKO)協力法
  • 武力攻撃事態法
  • 米軍等行動関連措置法
  • 特定公共施設利用法
  • 海上輸送規制法
  • 捕虜取扱い法
  • 国家安全保障会議(NSC)設置法

国際平和支援法とは、新法(国際平和共同対処事態に際して、日本が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律)を制定する法案になります。

平和安全法制の目的は、国民の安全と暮らしを守るため、日本に対する攻撃やその可能性を未然に防ぐことです。

同時に、国際社会の平和と安定によって貢献することも期待されています。
2015年9月に成立、2016年3月に施行され、戦後において日本の安全保障政策を大きく転換する契機となりました。

参考:安全保障法制の整備|外務省
参考:平和安全法制等の整備について|内閣官房

2、平和安全法制成立の背景

平和安全法制が成立した背景には、

  • 日本周辺の安全保障環境の変化
  • グローバル化する脅威

などの点が挙げられます。
それぞれみていきましょう。

(1)日本周辺の安全保障環境の変化

2021年時点で、国際環境の変化は著しく、日本周辺の安全保障環境への不安が高まっていると言われています。

国際情勢において、アメリカが圧倒的な力を有していた状況から一変し、周辺国による

  • 軍事力の増強
  • 軍事活動の活発化

の傾向にあります。

日本の安全保障上、懸念すべき事柄としては、中国に対する尖閣諸島への対応などがあります。

中国の公表国防費は、2007年度から10年間で約3倍に拡大されました。
急速な軍備拡大に伴い、東シナ海や南シナ海をはじめとする海洋進出の姿勢を示しています。

北朝鮮については、日本に届く弾道ミサイルの保有や核の脅威などがあります。
イスラム国などの国際テロ組織や、海外交通路(シーレーン)など、国際的な脅威が多様化してきているのです。

(2)グローバル化する脅威

グローバル化が進む中では、世界のどの地域で発生した事件でも、日本の安全や日本人に対して何らかの影響を及ぼす可能性があります。

実際、世界のテロ発生件数・死者数は、過去10年間で2倍以上に増加しました。

また、

  • 在アルジェリア邦人に対するテロ事件
  • シリアでの邦人殺害テロ事件

など、日本人が巻き込まれる海外テロ事件も増えていると言われています。

参考:「なぜ」、「いま」、平和安全法制か?|首相官邸

3、平和安全法制で知っておきたい4つのポイント

平和安全法制

平和安全法制の主な趣旨は、「自衛隊の活動範囲を広げること」です。
平和安全法制が成立する前、日本の自衛隊が活動できるタイミングは、以下の3つでした。

  • 武力攻撃発生事態(直接日本が攻撃されたとき)
  • 武力攻撃切迫事態(明らかに日本が攻撃されそうなとき)
  • 武力攻撃予測事態(日本への攻撃が発生する可能性があるとき)

「この状況の時は、こう対処する」という内容で、この基準はどの国にもあります。

そして、2015年に成立した平和安全法制によって、さらに以下3つの事態が増設され、自衛隊の活動範囲が拡大されたのです。

  • 存在危機事態
  • 重要影響事態
  • 国際平和共同対処事態

これを踏まえ、平和安全法制の主要なポイントとしては、以下4つが挙げられます。

  • 「存在危機事態」における集団的自衛権の容認
  • 「重要影響事態」に他国を支援できる
  • 「国際平和共同対処事態」に他国軍を支援できる
  • 通常時での自衛隊任務の拡大

それぞれ確認していきましょう。

(1)「存在危機事態」における集団的自衛権の容認

集団的自衛権は、戦後の歴代政権では認められていませんでした。

しかし平和安全法制により、日本が攻撃される明白な危険がある場合を「存在危機事態」として政府が認めることで、限定的な集団的自衛権の行使が可能になったのです。

ただ、明白に日本に危険が及ぶ事態なら、いつでも自衛隊が出撃できるというわけではありません。

(2)「重要影響事態」に他国を支援できる

重要影響事態とは、従来の「日本の周辺事態」という概念に代わるものを指します。

以前の「日本の周辺事態」では、「日本の周辺」で日本の平和に重要な影響を与える事態とされていましたが、平和安全法制の成立によって、地理的制約が訂正されました。

たとえ、日本から遠い場所で発生した事でも、そのまま放置すれば日本に重大な影響を与える事件であるという「重要影響事態」とみなされれば、他国軍への支援が可能となりました。

ただ、定義が曖昧であるという点から、拡大適用について懸念の声もあがっています。

(3)「国際平和共同対処事態」において他国軍を支援できる

国際平和共同対処事態とは、国際社会の平和や安全を脅かす事態に対処する活動の内、日本が主体的かつ積極的に取り組む必要のある事態を指します。

具体例には、世界に広がるテロ活動への対処などが当てはまるでしょう。
国際平和共同対処事態において、他国軍を支援する場合、国会への事前承認が必要です。

他国軍への支援といっても、基本的には消耗品・日用品・食料品などを提供する、後方支援になります。
自衛隊が積極的に戦闘に参加するのはもちろん、戦闘地域に行くことや武器提供は認められていません。

(4)通常時での自衛隊任務の拡大

従来では、災害などがあった場合、自衛隊が許可されていた活動は「在外邦人の輸送業務」だけでした。

しかし、平和安全法制の成立によって

  • 海外のテロ組織に拘束された日本人の救助
  • 日本のために活動する他国の軍艦の保護

などの措置が可能になり、通常時の自衛隊任務の幅が広がったのです。

その中で特に大きな論点になったのが、「駆けつけ警護」です。
駆けつけ警護とは、国連PKOに参加する自衛隊員が、

  • その国の市民
  • 国連職員
  • 他国の軍人

に危機が迫った場合、武器を持って助けに行くことを指します。

論争が多い部分ですが、2016年12月15日には、PKOに参加する中で、南スーダンに到着した自衛隊員に駆けつけ警護の任務が与えられました。

参考:平和安全法制等の整備について|内閣官房
参考:日本経済新聞

4、平和安全法制における武力行使の「新三要件」

平和安全法制によって、個別・集団の区別をつけない、武力の行使に対する新たな基準として「新三要件」が示されました。

防衛省による、新三要件の内容は以下の通りです。

  1. わが国に対する武力攻撃が発生したこと、またはわが国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これによりわが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること

  2. これを排除し、わが国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないこと

  3. 必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと

引用:憲法と自衛権|防衛省

新三要件の内容をまとめると、

  • 日本が危険であるとき
  • 武力行使以外に解決策が見当たらないとき

に限り、必要最小限の武力行使を可能とするというものです。

政府は、新三要件の武力行使について、「砂川事件に関する最高裁判決の範囲内であり、昭和47年の憲法解釈と基本的論点は全く変わっていない」との立場をとっています。

参考:平成29年版防衛白書|防衛省
参考:「新三要件の従前の憲法解釈との論理的整合性等について」に関する質問主意書

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平和安全法制に関するQ&A

Q1.平和安全法制とは?

平和安全法制とは、「平和安全法制整備法」と「 国際平和支援法」の総称です。

平和安全法制関連2法とも呼ばれます。

Q2.平和安全法制の主要なポイントは?

ポイントは以下の4つです。

  • 「存在危機事態」における集団的自衛権の容認
  • 「重要影響事態」に他国を支援できる
  • 「国際平和共同対処事態」に他国軍を支援できる
  • 通常時での自衛隊任務の拡大

Q3.平和安全法制が成立した背景は?

平和安全法制が成立した背景は以下の2つです。

  • 日本周辺の安全保障環境の変化
  • グローバル化する脅威

まとめ

今回は、平和安全法制について解説しました。国民の生命や財産、そして国土を守るためにも、安全保障は政府の重要な務めです。

国際情勢が目まぐるしく変化する中、海洋国家である日本の「守り」をどう進めていくべきなのかは重要であると言えます。

今後も自国の安全を高めるとともに、世界のさらなる平和と安定のため、積極的な取り組みが求められています。

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この記事の監修者
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