「政治をもっと身近に。」
政治に関する情報をわかりやすくお届けします。

政治ドットコムインタビュー政治家インタビュー日本維新の会 小野泰輔議員に聞く! 災害に強い日本・東京を作るために政治ができること

日本維新の会 小野泰輔議員に聞く! 災害に強い日本・東京を作るために政治ができること

投稿日2024.6.13
最終更新日2024.06.12

Warning: Undefined variable $pots_id in /home/learise/stg-ymzk.com/public_html/pxtnuzmy/wp-content/themes/myTheme2/single.php on line 48

今後30年間に70%の確率で起こると予想されている首都直下型地震。東京都選出の小野泰輔議員は、首都の防災対策を重要政策に掲げ、東京一極集中のリスクを訴えています。

今回のインタビューでは、小野議員が政治を志したきっかけや、熊本県副知事の経験から考える東京の防災対策、豊かな国づくりのために政治がすべきことなどをお伺いしました。

(聞き手・文責:株式会社PoliPoli 秋圭史)
(取材日:2024年4月16日)

小野 泰輔(おの たいすけ)議員
1974年生まれ。東京都出身。
コンサルティング会社、議員秘書などを経て熊本県参与、副知事。
2020年東京都知事選で惜敗、2021年衆議院議員選挙で初当選(1期)。
長男と双子の娘の3児の父。

(1)熊本県副知事、東京都知事選を経て国会議員に

ー小さいころから政治家を志していたと聞きました。政治家になりたいと思ったきっかけについて教えてください。

子どものころ、父の蔵書に影響を受け、政治家に漠然と憧れを持ちました。読書好きの父は歴史から政治、経済まであらゆる分野の本を収集し、私も自然と本に親しめる環境でした。

読書を通じて、政治家の決断次第でその社会の命運が左右されることを学びました。社会にとって政治はとても重要なものなんだと漠然と思っていましたね。ただ周りに政治家はおらず、自分が政治家になるイメージはあまり持てない日々が続きました。

ー政治への道が開かれたのはいつだったのでしょうか。

大学卒業後にコンサルティング会社に就職してからも政治とは縁遠い生活が続くと感じていました。しかし、不思議なもので自らの関心のあるものに目を向け続けていると政治の世界に関わるチャンスがどんどん巡ってきました。

大きな転機は大学のゼミの先生でもあった蒲島郁夫さんが熊本県知事に就任されたことです。蒲島さんが自分のチームを熊本県に作るときに誘われ、熊本県の参与となったのです。参与を4年間務めたのちに副知事となり、8年間務めました。合計で12年間熊本県で仕事をしたことになります。

蒲島郁夫さんは大学時代の恩師です。アメリカの大学、大学院を卒業され、東京大学で政治学を教えていらっしゃった。蒲島さんの経歴も東大の中では異質で研究内容も興味を惹かれたことをよく覚えています。自分を支えるスタッフはリーダーが決めるアメリカ政治の現場をよく知る蒲島さんだからこそ、民間から人材を登用することも厭わなかった。日本では民間から参与や副知事を連れてくるのは珍しいですからね。

仕事の仕方はどこも同じだと考えているので、民間から行政の世界に飛び込んでもそこまで大きなギャップはありませんでした。課題を見つけ、データを分析し、解決策を実行し検証する。このサイクルは行政も民間も同じなのです。

ー当時、熊本県で取り組まれたことについて教えてください。

「くまモン」の著作権の無料開放には特に注力して取り組みました。「くまモン」は県内企業を振興する目的で、熊本県が権利を保有し、著作権を無料で解放することにしました。

民間企業は有名なキャラクターを商品などに使用しようとすると、商品の売り上げの5%ほどを利用料として支払わなけれなりません。一方、「くまモン」の利用料をとったとしても県には年間5,000万円くらいにしかなりません。

熊本県内の企業が「くまモン」を利用し起用しやすい仕組みを作れば、税収でも返ってくる。企業が使用すれば「くまモン」の露出も増えて、認知度も高まる。損して得とれ、と考えました。結果、私が副知事を辞めたころには「くまモン」の関連商品の売り上げが1兆3,000万円にまで伸びました。NHKの紅白歌合戦にも出演したり、熊本の誇る有名キャラクターに成長しました。

このような仕事は必ずしも行政の仕事ではありません。ただ地域を盛り上げていく上で立場を超えて協同する必要があります。県庁も「株式会社熊本県」として地域を盛り上げていく努力をしてきました。

(2)東京一極集中のリスクは広い視野でとらえるべきもの

ー2020年に東京都知事選挙に立候補されています。きっかけはなんだったのでしょうか。

熊本県庁で12年間働き、そろそろ民間に戻ろうと考えていたころ、ふと東京都知事選に立候補してみようと思いつきました。2020年の東京都知事選は築地移転問題など大きなイシューがあったにもかかわらず、自民党は候補者を擁立せず、有権者の選択肢が少ないことに危機感を持っていたのです。

はじめは無所属で出馬しようと思っていた私にとって、日本維新の会から出馬したことは本当に偶然でした。高校時代の同級生・柳ヶ瀬裕史が当時、東京維新の会の代表をやっており、声をかけられたのです。維新の考え方自体には昔から共感していたので、一緒にやることをためらうことはありませんでした。

しかし当時の維新の会は東京で十分に浸透しているとは言いがたく、東京都知事選挙に出馬します、と熊本県のとあるホテルで宣言したとき応援してくれる人はたった3人でした。

ただそこからの広がりがものすごかった。これまでの人生で関わってくれた人がどんどん協力してくれて。熊本から東京に駆けつけてくれた人も多くいました。あれだけ短期間の選挙で61万票も獲得できたのは周りの人のおかげです。(参考:わずか3週間で61万票とった男)結果は惜敗。それでも手応えを感じる選挙でした。

ー東京都知事選挙ではどのような訴えを行ったのでしょうか?

都知事候補の立場から東京へ一極集中することのリスクを主張しました。一極集中がもたらす最大の脅威は災害時の脆弱性です。日中、23区には他の地域から通勤・通学で数百万人が集まります。このとき災害が起こるとどうなるのか。公共交通機関はストップ。帰宅難民は大量発生。東京には川と橋が多いので移動もままならない。住宅密集地域に暮らす住民の避難も大きな問題です。

熊本県庁時代に私は熊本地震を経験しています。避難場所の不足はどの地域の災害でも共通する問題ですが、東京はより深刻です。熊本では避難所にも自宅にもいられない人たちが車中泊でしのぐことができた。ただ東京で同じことはできません。車を持っている人も車を置くスペースもないですからね。

だから都知事選ではいずれ発生する首都直下型地震を想定したまちづくりが必要だと訴えました。都心の過度な開発を抑制して、リスク分散のために多摩地域など周辺に核を作っておく。都心集中ではなく、多極分散型の東京を目指すべきだと主張したのです。

ー日本全体にとって東京への一極集中にはどんなリスクがあるのでしょうか?

少子化が加速することも大きなリスクです。現在、東京には全国から若者が集まってきています。しかし、東京ではみんな子どもを持たない。所得の多寡は関係なく、所得の高い人でも多くて2名ほどしか子どもを持たないのです。

一方、熊本では東京よりも所得が低くても3人、4人と子どもを持つ人が多い。子どもを持つかどうかについては、所得より生活環境の影響が大きいのだと推察します。

世界を見てみると、韓国では首都・ソウルへの一極集中が続いた結果、深刻な少子化を招いています。合計特殊出生率が0.72(2023年)と危機的な状況です。アメリカでも、GAFAのあるサンフランシスコでは地価が跳ね上がって、年収一千万、二千万でも暮らしていけなくなってしまった。都市を適度に分散して、リスクを抑えながら快適に暮らせる環境をつくる必要がある。維新の会が目指す大阪都構想も、大阪を一つの核とすることで東京一極集中を防ぐための政策とも考えられるのです。

ー東京都のことだけを考えるなら、都心の開発を進めるべきとなりそうです。

普通の発想であれば東京都知事は東京の成長を第一に考えますよね。再開発をどんどん進め、企業を誘致し、人口を増やす。そのような政策を訴えることが一般的かと思います。

ただその結果として生まれたのが今の災害に脆弱で少子化が進む東京であることもまた認識する必要があります。これを解決するには東京自らが都市の構造を転換させるための政策を主導しなければなりません。

足元、東京や大阪では教育無償化が先行的に進められています。財政力のある自治体が少子化対策として打ち出しているわけですが、私はその効果に懐疑的です。財政力のある自治体が魅力ある政策を打てば打つほど周辺自治体から子育て世帯を含む、若者世代が流出してしまう。他の自治体が割を食うゼロサムゲームになってしまうんですね。都市政策は民間に任せていても進まない分野のひとつです。日本の国としてのグランドデザインにも大きく関わるからこそ、政治主導の大局的な考え方に基づいた政策を心がけています。

(3)公教育の改革で自由に若者がチャレンジできる環境を

ー小野議員が政治家として成し遂げたいことを教えてください。

「失われた30年」と呼ばれる日本経済の復活や社会保障制度改革などマクロな構造改革に関心を持っていますが、現在注力しているのは教育改革です。現在の日本の公教育は硬直的な部分が目立ちます。管理型の学校で、子どもたちをガチガチに管理するシステムになっています。その結果、先生も大変な思いをしている。保護者は学校を信頼できず、塾通いも当たり前。子どもも大変です。夜遅くまで塾へ行くのは、大人が残業しているのと変わりませんから。塾代も子育て世帯の負担となります。これらを解決するには、学校教育を社会のニーズにあったものに変えていくことが絶対に必要です。子どもたちや若者が自由に工夫しチャレンジできる環境を作るための公教育改革をやりたいです。

これまでは人口が増えていく社会でした。これからは縮小の時代です。だからどうしても政治家のだれかが耳障りの悪いことも言わなくてはならない。それでもどうしても政治家は選挙の得票数を目的にすると目の前の人が喜ぶことをやろうとします。しかし、その人たちが喜んだとしても、どこかでひずみが生じていて、誰かが損したり、長期的にみんなが不幸になることがある。現状を打開するためにも、より広い視野での政策作りが求められていると思います。

この記事の監修者
政治ドットコム 編集部
株式会社PoliPoliが運営する「政治をもっと身近に。」を理念とするWebメディアです。 社内編集チーム・ライター、外部のプロの編集者による豊富な知見や取材に基づき、生活に関わる政策テーマ、政治家や企業の独自インタビューを発信しています。